福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

守護國界主陀羅尼經卷第十阿闍世王受記品の訳・・その3

2011-05-25 | 護国仏教
爾時、迦葉波佛は訖哩枳王のために。重ねて偈を説いて言く。
貧にして活きざるを畏れて剃落し、敬養を得て貧窮を脱れんと言う
散亂高擧して多財を務む。 内虚にして不實なること蘆葦(るい」のごとし。
煩惱眷屬に迷醉せられ 斯の人は大菩提を遠離す
眞金を負うて翻って棄捐し、 薪を拾って荷擔して歡喜を生ずるがごとし
名利縈纒(えいてん)して嬾惰(らいだ)を増し  惰り増して淨信の心を滅盡す
信心既に滅して淨戒無なし 無戒なれば人天の果を斷滅す。
闌若閑林(らんにゃかんりん・・森林)に自ら安居し、 本より名利及親知を求む。
戒定智慧の心を遠離して  但だ豪貴親識によりて住するのみ
自ら三惡及八難をもとめ 貧窮下賤にして邊地に生ず
譬ば生盲が寶洲に至るも 石を取って如意寶を捨つるが如し
放逸馳蕩して勝負を増し 戒行正念心を遠離して
阿鼻獄極怖中に墮し 倶胝劫を經ても解脱し難し
内心に恒に名稱を求めんが為に身口を現に説き菩提と為す
鳥の空を飛んで猛風に遇うが如く 生死の大苦海に飄落す
薄福にして天人女に耽染し 破戒して善業因を遠離す
佛の教は皆な欲火のために燒かるること 須彌山の劫火に遇うが如し
菩提の味無く、唯利のみ求め、 恒に人の為に菩提を求むると説く
心は解脱中に住せざれば 獼猴の堅き椰子を得るがごとし
如來は正法の寶を求めんがために 懸崖大火坑に投身す
既に法を聞き已って隨順して修し、 怨親平等に皆慈濟す
云何んが佛の諸の功徳を聞いて 一念好樂の心を生ぜざるや
唯、非法を愛して菩提を遠ざくるは 生盲の人が他に道を示すが如し
迦葉如來は此偈を説き已って、復、訖哩枳(きりき)王に告げて言く。
「大王よ汝が夢にみる所の帝王門前の二口の白象は。恒に水草を食して身が
羸痩(るいそう)するというも。亦た王の事に非ず。即是釋迦如來遺法之中の
五濁惡世に因果を信ぜざる百官令長は。上は帝王の光寵榮祿を受け。下は百姓に非理を追求す。復た貪求すと雖も多く匱乏(きぼう)して賦税に度無く、萬民は貧窮して。子孫を貿易して家業を蕩盡し。寺に投じて剃落す。寺は復た荒蕪して。多くの惡比丘は發心するに地無く。遂に外道の路伽耶(ろきゃや・・・順世外道)等の斷常の諸見異學に投じて出家す。邪見の因縁によって師徒は皆な墮して自ら地獄に入る。復、多の人のために地獄門を開き。相引き奔馳して三惡道に趣き。人天の路を閉じて解脱するに無由。大王よ當に知るべし。此の二夢は並びに是れ釋迦如來遺法之相にして。王の事に非ず」。
訖哩枳王は此の説を聞き已って。永く疑網を斷じ歡喜踊躍せり。復た種種の上妙の供具をもって。迦葉如來を恭敬供養し。佛足を頂禮し右遶して退けり。

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