寺は、那古山の中腹にあり、下の道から伸びている急な階段を上がって境内に立つ。境内には青い空を背景に、目を惹く朱塗りの山門や、朱と白のコントラストが美しい本堂など優雅な伽藍が明るい空間に光っていた。
那古寺は、養老元年(717年)行基菩薩の開基。縁起によると、行基菩薩が海中より香木を得て千手観音を刻み、元正天皇の病気平癒を祈願。直ちに快復。天皇の勅願により、那古山上に堂宇が建立されたと云う。その後、源頼朝、足利尊氏、里見一族の厚い信仰を受け寺運拡大、大寺となったが、元禄大地震で堂宇全壊、徳川幕府により現在地に再建された。
本堂は、八間四面の朱塗り本瓦葺。松平定信の手になる円通閣の篇額が掲げられている。内陣には、銅造り鎌倉時代初期の本尊を模した千手観音像(重文)。