解行發心は當に知るべし轉た勝れたり。是の菩薩は初の正信よりこのかた、第一阿僧祇劫において將に滿ぜんと欲するが故に、眞如法の中において深解現前し修する所は離相なり。法性の體には無慳貪なりとと知るをもっての故に、隨順して檀波羅蜜を修行し、法性は無染にして五欲の過を離れたりと知るをもっての故に隨順して尸波羅蜜を修行し、法性には苦なくして瞋惱を離れたりと知る故に、隨順して羼提波羅蜜を修行し、法性には身心の相無ければ懈怠を離れたりと知る故に隨順して毘梨耶波羅蜜を修行し、法性は常定にして體として亂無しと知る故に隨順して禪波羅蜜を修行し、法性は體としては明にして無明を離れたりと知るを以ての故に隨順して般若波羅蜜を修行するなり。(理解したことを実践して意欲を起こすことは前の第一段階の発心と比べて勝れている。その理由はこの段階にある菩薩は初めて大乗への信を起こした時以来第一阿僧祇劫という長い修行を完成させようとするところに来ているので真如についても深い理解が生まれ、心真如は個別性を離れていると知り六波羅蜜の実践に努めるからである。すなわち心真如はそれ自体慳貪を離れていると知っているので、その通りに受け入れて檀波羅蜜(布施行)を実践するし、心真如は汚れなく五感の対象となる欲にもとずくところの過失を離れていると知っているのでその通りに受け入れて尸波羅蜜(持戒行)を実践し、心真如は苦悩なく瞋惱を離れたりと知る故に、その通りに受け入れて羼提波羅蜜(忍耐行)を実践し、心真如は身心の相がなく懈怠を離れていると知っているのでそのとおりに受け入れて毘梨耶波羅蜜(精進行)を実践し、心真如は常に安定していて乱れないと知っているのでそのとおりに受け入れて禪波羅蜜(禅定)を実践し、心真如は智慧を体としておりもともと無明を離れていると知っているのでその通りに受けいれて般若波羅蜜(智慧行)を実践する。)
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