福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

角田さんに「護国寺定例参拝記録」を作っていただきました。

2019-03-20 | 開催報告/巡礼記録
東日本大震災復興と護国寺定例参拝記録

東日本大震災復興和讃(密厳流・和讃)
① 波舞い上がり砕け散る 網引く声も高らかに
よせあう力たのもしや 故郷(ふるさと)の恵み守らなん
⓶連なる峰の気高さよ 生きる力も新たなり
われらが智慧もさまざまに 故郷(ふるさと)の幸や栄えなん
③ 深い絆に結ばれて 復興せられし今日なれど
御霊(御霊)の無念忘れまじ 心に刻み精進を

東京・文京の大本山・護国寺に、待ちに待った春がやってきました。広い境内に点在している桜の大木には、桃色に薫る花々が研を競うかのように満開に咲いていました。3月16日(土)午後3時、福聚講(高原曻耕講元)は、定例参拝を行いました。この日高原講元様は高野山に参詣に行かれて欠席されましたが「主なしとて、春な忘れそ」で幹事のNさんが導師を務め音木を打って普段の勤行通りにお参りができました。

この日、新たに2人の参詣者が私たちの勤行に参加して頂きました。Nさんの丁寧な指導で、お焼香をしご真言をお唱えする所作など、参拝もスムーズに行われました。この日は天候にも恵まれ、境内の至る所にある桜の木は花を咲かせ、司馬江漢(1747~1818)の描く掛け軸の日本画の絵図を思わせる情景が広がっていました。参詣する人も彼岸前の先祖の墓参りの人々、墓参が終わって本堂でお坊さんのたてたお茶を頂く人、お加持を受ける人など、荘厳な静けさの中でも活気のある光景が繰り広げられていました。そんな参詣者が出入りする中で、Nさんの音頭の読経が本堂の神聖な雰囲気をより高めるひと役を買って居るような感じも受けました。

ところで、平成23年3月11日は日本人として忘れられない日となっています。8年前に東北地方の海岸沿岸部を中心に地震と津波が発生、同時に福島県では東京電力福島原発の事故が発生し多くの人に未曽有の苦難の人生を強いることになりました。いまだに復興ままならぬ事態に遭遇して苦しみを受けている人が6万人もいるという現実があります。今年3月1日現在の被災者は警察庁まとめで、死者15897人・行方不明者2533人となっています。この過酷な現実になんにもできない私たち、せめて鎮魂の意を伝えるように、この日の御詠歌奉唱には私は冒頭に掲げた密厳流の「東日本大震災復興和讃」を講員の皆さんに紹介方々ご披露しました。

福島原子力発電所の事故は他人事ではありません。私たちがお世話頂いている護国寺のY僧正様(63)がこの原発事故の直接の被害者であるのです。Y僧正様は、福島県の浪江町のお寺の副住職として、住職である父君の片腕として檀家さんの法要をしながら高校の商業科の教員もしておられました。しかし8年前の11日、悪夢のような原発事故が起こり、お寺のある浪江町は立ち入り禁止に指定され一歩も足を踏み入れることが出来ない地域になりました。お寺は存在しているのに一歩も入れない。仕方なく父君も福島に行き仮のお寺に住むことになったそうです。浪江の町は寺があっても使うことが出来ず、寺の檀家さんも離散してしまい、殆どの檀家さんは、もう浪江の町に帰れなくなったと言います。檀家さんを何とかしてあげたいと、Y僧正様は、考え祈るのですがどうにもできない。「それが心苦しい」と自責の念に耐えつずける日々を過ごしておられるのです。Y僧正様も、護国寺の計らいで平成25年8月から護国寺で御勤めが出来るようになり、今は月に2度浪江の町に帰っているそうです。いつも笑顔を絶やさず懇切丁寧に参拝者に接しておられるY僧正様は、お話を聞くまではそのような過酷な宿命を背負っておられる方とはおもわれません。

私たち福聚講も震災発生直後、高原講元様に先導して頂いて宮城県仙台市の荒浜海岸の被災現場を訪れ、慰霊と早期復興をただただ祈ってきました。しかし、いまだに荒浜は荒れ地のままになっていて住民は戻らず荒涼とした光景が広がっているということです。いまだに未来を思うことの出来ない地域が東北地方に存在しているのです。世の中は春が来た、と言って浮かれているようですが・・・。

終わりにブログをご覧いただいている皆さんに大震災の犠牲者を悼むべく、遍照講の追悼詠歌をご紹介しましょう。心の奥でお唱えください。

東日本大震災物故者追悼詠歌 (遍照講 密厳流)

今は亡き 御霊静かに み仏の
慈悲の光に 抱かれ往く身
南無大師 南無大師遍照尊
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