福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

「十善法語」その86

2019-11-26 | 十善戒
華厳経に偸盗の罪。又衆生をして三悪道に堕せしむ。若人中に生すれば二種の果報を得る。一には貧窮。二には共財自在を得ずとある。(華厳経・十地品第二十二之二「劫盜之罪。亦令衆生。墮三惡道。若生人中。得二種果報。一者貧窮。二者共財不得自在。」)

此偸盗の罪の悪趣を現ずることも。通途の者は信じがたきか。世間の道理を以て看よ。少々の盗を作者は必ず國の常刑有て許さぬ。何の國にも古今違はぬ。

周の末に田氏が斉を奪ひし。韓、魏,趙が晋を分ち領ぜし類は。國の常刑をも合せ盗む。此等は業果と云ことなくば。大悪は却て福となると云も可なりじゃ。

荘子に喩を挙て。世の金銀珠玉は人の欲する所なるに由て。縅とうを摂し扃鐍(けいきつ)を固して置けば。先小人は免る。若巨なる盗人が来ば。櫃(この木偏のないもの)を負ひ筐を掲げ囊を担て趨る。この巨盗は縅とうを摂し扃鐍(けいきつ)の堅固なるを悦ぶ。通途の盗賊は刑罰法度の厳重なるをおそる。國を盗者は此刑罰法度共に盗む。法度の厳重なるを悦ぶ。彼の「鈎をぬすむ者は誅せられ。國をぬすむ者は諸侯となる。諸侯の門に仁義存する焉。則是仁義聖知をぬすむに非ず邪」(荘子胠篋(きょきょう)篇にある)と云ふことじゃ。
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