福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

秩父三十四所観音霊験圓通傳 秩父沙門圓宗編・・23/34

2023-10-23 | 先祖供養

 

第二十三番 をがさか松風山音樂寺。御堂五間四面南向。

本尊聖觀音 立像御長一尺六寸(48㎝) 慈覺大師御作

當山の原始は、天長年中(9世紀)慈覺大師關東所々の霊地を開闢し給ふ折から、此地の不常をみ給まひ、此尊像を彫刻し給ひ、路を開きて堂宇を建させ給ふ時、余多の小男鹿來て案内し奉りし故、小鹿坂の名有。其後數百歳を經て、亨徳二年癸酉(1453)、諸州逆浪起て浪煙天を焦げる時、このあたりは別て物さはがしく、盗賊此寺に押入て本尊まで盗出けるが、此賊等唯一所に耳徃來して更に他の地へ出る事あたはず、盗賊大に怖畏して元の如く本尊を皈し奉ける。抑此山や後に松柏生茂り前は東南を見晴して、戸の間笹の戸の境は山陰の蚊遣に問へり。大宮大野原の田面に下り居る雁も隅なく見へて、荒川は糸を引けるが如く、 無双の勝景神仙の境と云つべし。當寺の霊験事長ければ略す。詠歌に曰、

「音楽の 御聲なりけり 小鹿坂の 調べに通ふ 峯の松風」

此詠は、風聲水音皆是一體の観音なれば、當山の岑の松風則西方の菩提の音楽なるよと観ぜしなるべし。古歌に「琴の音に岑の松風通ふらし何の緒より調そめけん(拾遺和歌集・徽子女王)」と讀しを引て。をがさかと云に緒の縁有をとれるか。見来ば此地真の極楽、西方願生の行者必ずいたって拝せよ。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 秩父三十四所観音霊験圓通傳... | トップ | 秩父三十四所観音霊験圓通傳... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

先祖供養」カテゴリの最新記事