「懺悔」の密教大辞典の項です。「仏、菩薩、師長、大衆等に対して過去に犯したる己が罪過を発露披露してその忍容を請ひ、悔い改むるとを誓ふをいう。仏教の実践道徳上極めて重要なることの一にして罪障消滅の必須用件とせらる。故に大小乗の諸経論にこれを説くこと頗る多く、その方法種類は諸説区々なり。戒律には布薩・自恣の法によりて懺悔をおこなふ。真言宗には五悔(注1)・九方便の第二段出罪方便(注2)即ちこれなり。九方便にはまた印真言を説けり。朝夕例時の勤行をはじめ、諸種の法会には此等の文を読誦し印明を結誦して懺悔するを常とす。又在家に授戒をおこなう等の際は華厳経普賢行願品所説の「我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋癡従身口意之所生 一切我今皆懺悔」を唱ふ。これを懺悔文と称せり。」
(注1五悔とは、
第一 至心帰依、 帰命十方 一切佛 最勝妙法 菩提衆
きべいしっぽう いっせいふ さいしびょうほう ほていしゅう
以身口意 清浄業 慇懃合掌 恭敬禮
いしんこうい せいせいぎょう いんぎんがっしょう きょうけいれ
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第二 至心懺悔 無始輪廻 諸有中 身口意業 所生罪
ぶしりんかい しょゆうちゅう しんこういぎょう そうせいざい
如佛菩薩 所懺悔 我今陳懺 亦如是
じょふほさ そうさんかい がきんちんざん えきじょうし
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第三 至心隋喜
我今深発 歓喜心 隋喜一切 福智聚
がきんしんぱっ かんぎしん すいきいっせい ふくちしゅう
諸佛菩薩 行願中 金剛三業 所生福
しょふほさ かいげんちゅう きんこうさんぎょう そうせいふく
縁覚声聞 及有情 所集善根 盡隋喜
えんかくせいぶん ぎゅうゆうせい そうしゅうせんこん しんすいき
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第四 至心勧請
一切世燈 坐道場 覚眼開敷 照三有
いっせいせいとう さとうちょう かくがんかいふ しょうさんにゅう
我今蝴跪 先勧請 転於無上 妙法輪
がきんこき せんげんせい てんにょぶしょう びょうほうりん
所有如来 三界主 臨般無余 涅槃者
そゆうじょらい さんかいしゅ りんぱんぶよ でっぱんしゃ
我皆勧請 令久住 不捨悲願 救世間
がかいげんせい れいきゅうちゅう ふしゃひげん きゅうせいかん
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第五 至心廻向
懺悔随喜 勧請福 願我不失菩提心
さんがいずいき げんせいふく げんがふしほうていしん
諸仏菩薩 妙衆中 常為善友厭捨
しょふほさ びょうしゅうちゅう しょういせんにゅうふえんしゃ
離於八難 生無難 宿命住智荘厳身
りようはつなん せいぶなん しゅくべいちゅうちそうげんしん
遠離愚迷 具悲智 悉能満足波羅蜜
えんりくべい くひち しつのうまんそくはらび
富楽豊饒 生勝族 眷属広多恒熾盛
ふうらくほうじょう せいししょ けんじょくこうたこうしせい
四無擬弁 十自在 六通諸禅悉円満
しぶかいへん しゅうしさい りくとうしょせんしってんまん
如金剛幢 及普賢 願讃回向亦如是
じょきんこうとう きゅうほうけん げんざんかいきょうえきじょうし
帰命頂礼 大悲 毘慮遮那仏
きべいていれい たいひ ひろしゃだぶ
注2、出罪方便とは 胎蔵界礼讃にあるもので、
我由無明 所積集 身口意業 造衆罪
がゆぶべい そうせつしゅう しんこういぎょう そうしゅうさい
貪欲恚痴 覆心故 於佛正法 賢聖僧
たんにょくいち ふしんこ ようふせいほう けんせいそう
父母二師 善知識 及以無量 衆生所
ふぼじに せんちしき きゅういぶりょう しゅうせいそう
無始生死 流転中 具造極重 無尽罪
ぶしせいし りゅうてんちゅう くそうきっちょう ぶしんさい
親対十方 現在佛 悉皆懺悔 不復作
しんたいしっぽう けんさいふ しっかいさんかい ふふくさ
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
(注1五悔とは、
第一 至心帰依、 帰命十方 一切佛 最勝妙法 菩提衆
きべいしっぽう いっせいふ さいしびょうほう ほていしゅう
以身口意 清浄業 慇懃合掌 恭敬禮
いしんこうい せいせいぎょう いんぎんがっしょう きょうけいれ
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第二 至心懺悔 無始輪廻 諸有中 身口意業 所生罪
ぶしりんかい しょゆうちゅう しんこういぎょう そうせいざい
如佛菩薩 所懺悔 我今陳懺 亦如是
じょふほさ そうさんかい がきんちんざん えきじょうし
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第三 至心隋喜
我今深発 歓喜心 隋喜一切 福智聚
がきんしんぱっ かんぎしん すいきいっせい ふくちしゅう
諸佛菩薩 行願中 金剛三業 所生福
しょふほさ かいげんちゅう きんこうさんぎょう そうせいふく
縁覚声聞 及有情 所集善根 盡隋喜
えんかくせいぶん ぎゅうゆうせい そうしゅうせんこん しんすいき
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第四 至心勧請
一切世燈 坐道場 覚眼開敷 照三有
いっせいせいとう さとうちょう かくがんかいふ しょうさんにゅう
我今蝴跪 先勧請 転於無上 妙法輪
がきんこき せんげんせい てんにょぶしょう びょうほうりん
所有如来 三界主 臨般無余 涅槃者
そゆうじょらい さんかいしゅ りんぱんぶよ でっぱんしゃ
我皆勧請 令久住 不捨悲願 救世間
がかいげんせい れいきゅうちゅう ふしゃひげん きゅうせいかん
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ
第五 至心廻向
懺悔随喜 勧請福 願我不失菩提心
さんがいずいき げんせいふく げんがふしほうていしん
諸仏菩薩 妙衆中 常為善友厭捨
しょふほさ びょうしゅうちゅう しょういせんにゅうふえんしゃ
離於八難 生無難 宿命住智荘厳身
りようはつなん せいぶなん しゅくべいちゅうちそうげんしん
遠離愚迷 具悲智 悉能満足波羅蜜
えんりくべい くひち しつのうまんそくはらび
富楽豊饒 生勝族 眷属広多恒熾盛
ふうらくほうじょう せいししょ けんじょくこうたこうしせい
四無擬弁 十自在 六通諸禅悉円満
しぶかいへん しゅうしさい りくとうしょせんしってんまん
如金剛幢 及普賢 願讃回向亦如是
じょきんこうとう きゅうほうけん げんざんかいきょうえきじょうし
帰命頂礼 大悲 毘慮遮那仏
きべいていれい たいひ ひろしゃだぶ
注2、出罪方便とは 胎蔵界礼讃にあるもので、
我由無明 所積集 身口意業 造衆罪
がゆぶべい そうせつしゅう しんこういぎょう そうしゅうさい
貪欲恚痴 覆心故 於佛正法 賢聖僧
たんにょくいち ふしんこ ようふせいほう けんせいそう
父母二師 善知識 及以無量 衆生所
ふぼじに せんちしき きゅういぶりょう しゅうせいそう
無始生死 流転中 具造極重 無尽罪
ぶしせいし りゅうてんちゅう くそうきっちょう ぶしんさい
親対十方 現在佛 悉皆懺悔 不復作
しんたいしっぽう けんさいふ しっかいさんかい ふふくさ
帰命頂禮 大悲 毘慮遮那佛
きべいていれい たいひ ひろしゃだふ