『入定和讃』
帰命頂礼遍照尊
承和年の春の末
御年六十二歳にて
高野の奥の岩かげに
入定留身なし給う
琴絃すでに絶れども
遺音いよいよ新しく
延喜の帝の御夢に
現れまして
「たかのやま むすぶいおりに そでくちて こけのしたにぞ ありあけのつき」
とよまれし御歌に
叡感ことに浅からず
桧皮色なる御衣を
送りたまふて今の世に
うつる匂ひの聖経と
万代までもかはりなき
御衣かえの御儀式
げにありがたの高野山
南無大師遍照尊
南無大師遍照尊
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