「ラマ教の秘密タントラの観法では、ラマは行法の鍛錬によって肉体から霊魂を遊離しうるとする。・・したがってその死は永劫の別離ではなく単に地上において肉体を取り換え生を移転するにすぎないものと信ぜられるにいたったのである。・・そこでラマの命終と同刻に生まれた神童を尋ね求めこれを化身ラマとして迎え前代のラマと同様な敬虔な態度を以てこれに奉仕するのである。・・またチベット人は化身ラマを師匠の生まれ変わりと考えるばかりでなく、遠い過去にさかのぼってその「本地」に思弁を加える。すなわち観音とか、薬師とかをラマの本地と推定しかかる佛菩薩の人格化となすのである。たとえばダライラマは観音が本地であり、パンチェンラマは阿弥陀如来である。」(多田等観「チベット」)
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