1、 折口信夫は、霊魂は結合して発育する、これを「ムスブ」というと説明しています。「『ムスブ』というのは『霊魂を物質の中に入れると、 物質が生命を得て大きくなつていくと共にその霊魂も育つ て行く。・・』(折口信夫の霊魂論覚書・小川直之)」といっています。この考えからすると江戸以前に神仏を一体としてお祀りしてきた(むすんできた)のは神仏のお力をそれだけ強大にしてきたことになります。それを分ければそれだけ逆に弱くなることになります。明治以来我が国に天災、戦争が相次いだのはここから分かります。
2、 しかしそれ以上にそもそも一旦合祀された神霊を分けることは出来ないのです。「神道における合祀祭はもっとも重儀な神事であり、一旦お祀り申し上げた個々の神霊の全神格をお遷しすることはありえません。 (平成十六年三月三日 A級戦犯分祀案に対する靖國神社見解)」です。それならば明治維新で神仏分離をしたのは神道理論からしても根本的に不可能だったのです。
3、 以上から明治の神仏分離をまともに受けていまでも神社と寺をわけてお参りするようになっているのは大至急改めなければならないことになります。しかしそうはいってもすぐには神仏合祀は無理でしょうから神前ではせめて般若心経くらいは読経して神様をおなぐさめするようにわれわれも努めなければなりません。