大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道70

2008-06-14 17:00:31 | E,霧の狐道
 先程まで、特売の台の周りには誰もいなかったのに、いつの間にか忍者のように人が立っているのが眼の端に見える。
俺が顔を上げると、そこには赤地に金色の豹柄の作務衣を着ている怪しいオババが“お揚げ(本日、特売)”の表示を見ながら考え事をしていた。
下駄を履いて腕組みをしている。

“ う~ん・・・?”

サザエのような髪型だ。
所々尖がった角がツンツンしている。

“ 不気味・・・。”

俺は、オババを見ながら考えた。

“ いくつぐらいなんだろ・・・?”

顔は横顔しか見えない。

“ オバチャンか、婆さんかどっちかな・・・?”

年齢は若ければ40歳、見ようによっては70歳くらいにも見える。

“ このオババも、お揚げを買いに来たのかな・・・?”

俺がオババを見ていると、オババも俺を見た。

“ ん・・・。”

オババの顔を正面で見た瞬間、俺は思った。

“ もう、年齢なんてどうでもいい。
 このオババ、タダモノでは無いぞ。”

 妙に眼付きの鋭い人相の悪いオババだ。
こう言う手合いは、係わり合いになってはいけない。
それに、オババに気を取られている場合ではないのだ。
俺は、お揚げを確保しなければならないのだ。

“ オババに取られないうちに、確保!”

俺は、特売の台に身を乗り出して、急いでお揚げの袋に左手を伸ばした。

“ よし、確保!”




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