とにかく、急いで、あのキツネのイタズラを阻止しなければならないのだ。
そうすれば、先生やクラスの連中の夢に俺が登場することも無くなる。
由紀ちゃんが、俺が覗いたと疑っている風呂の件は、今回はアリバイがあったから良かったけれど、次にアリバイ無く起これば、もう、取り返しがつかなくなる。
ホントに、出来るだけ早い方がいい。
今日の放課後、俺は大急ぎで脇社に行くことにした。
“ よし、お稲荷さんの大ボスに決まりだ!”
俺は、“これはグッドアイデアだ”とニヤッと笑った。
そのとき、突然、隣の席の女の子が叫んだ。
「 先生、神谷君、笑ってます!」
それを聞いて、山下先生が言った。
「 また、神谷か。
何を思い出してニヤニヤしているんだ。
また、エッチなことを考えてたんだろ。」
「 違います。
風呂なんか覗いていません!」
「 えっ、お前、風呂を覗いていたのか?」
由紀ちゃんが、前の方の席から振り返って、俺を睨み付けた。
「 ち、違います。」
「 俺は、風呂の話なんて一言も言ってないぞ。」
「 その、例え話・・・。
そう、例え話ですよ、えへっ・・。」
「 何だか、よく分からないが、授業中ニヤニヤするのは止めろ!」
「 ハイハイ。」
「 ハイは、一回。」
「 はあ~い。」
俺は、突然、話を振られて動揺してしまった。
振り返った由紀ちゃんの顔は、疑いに満ちていた。
“ マズイ、とても、マズイ・・・・。”
その日は、由紀ちゃんは俺を避けて一言も口をきいてくれなかった。
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