大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道101

2008-08-19 18:59:03 | E,霧の狐道
 俺は、お揚げを社の前に置いて、予定していたお願いを言った。

「 ええと、あの、家をウロウロしているキツネを何とかしてください。
 勝手に、冷蔵庫のお揚げを食べたり、俺の姿で、みんなの夢に出て来
 て悪さをするのです。
 真っ当なキツネになるように、ご指導して下さい。
 苦労の末、手に入れたお揚げを置いておきますので、くれぐれもヨロシク。」

“ むふふふふ、これで、もう大丈夫だ。”

俺はお願いを言ってから脇社の様子を窺った。

“ そろそろ煙がモクモクと湧いて来る筈なんだが・・・・?”

脇社は、特に何の変化も無い。

“ お稲荷さんネットワークは、お休みかな・・・?”

脇社は静かなままだ。

“ おかしいな、大ボスは寝ているのかな・・・・・?”

俺はしばらく考えた。
そして、結論だ。

“ そうか、分かった。
 きっと、珍しくお供えがあったので動揺しているのだ!
 何年振りかのお供えに、ビックリして腰を抜かしてしまったんだ!!”

ま、いいのだ。
とにかく願いが叶えばそれでいいのだ。
俺は、ちょっとは残念な気もしたが、大ボスに会うのは諦めた。
そして、大きな声で脇社に言った。

「 確かに頼んだからねっ!!!」

俺は、そう言い終わると、気のせいか心持ち両肩が軽くなったような気がした。
そして、“ぱんぱんぱんぱんぱぱんのぱんぱん”と多めに拍手を打って、山住神社の脇社を離れ家路についた。



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