俺は、お揚げを社の前に置いて、予定していたお願いを言った。
「 ええと、あの、家をウロウロしているキツネを何とかしてください。
勝手に、冷蔵庫のお揚げを食べたり、俺の姿で、みんなの夢に出て来
て悪さをするのです。
真っ当なキツネになるように、ご指導して下さい。
苦労の末、手に入れたお揚げを置いておきますので、くれぐれもヨロシク。」
“ むふふふふ、これで、もう大丈夫だ。”
俺はお願いを言ってから脇社の様子を窺った。
“ そろそろ煙がモクモクと湧いて来る筈なんだが・・・・?”
脇社は、特に何の変化も無い。
“ お稲荷さんネットワークは、お休みかな・・・?”
脇社は静かなままだ。
“ おかしいな、大ボスは寝ているのかな・・・・・?”
俺はしばらく考えた。
そして、結論だ。
“ そうか、分かった。
きっと、珍しくお供えがあったので動揺しているのだ!
何年振りかのお供えに、ビックリして腰を抜かしてしまったんだ!!”
ま、いいのだ。
とにかく願いが叶えばそれでいいのだ。
俺は、ちょっとは残念な気もしたが、大ボスに会うのは諦めた。
そして、大きな声で脇社に言った。
「 確かに頼んだからねっ!!!」
俺は、そう言い終わると、気のせいか心持ち両肩が軽くなったような気がした。
そして、“ぱんぱんぱんぱんぱぱんのぱんぱん”と多めに拍手を打って、山住神社の脇社を離れ家路についた。
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