俺は、たぶん、走り幅跳びのように空中で足を回転させて歩いていたと思う。
でも、鳥ではないから、必ず落ちる。
俺は横に回転しながらスローモーションで下に落ちて行った。
“ どすん!”
川の真ん中に俺は落ちた。
「 イデデデデデ!!」
川の水は、多くは無い。
水は川幅の半分を流れていた。
残り半分は河原だ。
俺は、ちょうど川の真ん中にある浅瀬に落ちた。
浅瀬だから、溺れることは無かったが、左足に激痛が走った。
さらに、左肩の辺りが痛くて、腕が上がらない。
俺は体の左を下にして、河原の砂利の上に落ちてしまったのだ。
体を動かそうとすると痛みが走る。
俺は、立ち上がって土手を登ることは出来ないと思った。
“ でも、川には女の子の親がいる筈だ。”
俺は川の水に濡れながら大声で叫んだ。
「 助けてくれぇ~~~!!
落ちたァ~~~~!!」
俺は、助けの声を待った。
“ ん、・・・・・。”
妙に静かだ。
“ 返事が無いぞ・・・・。”
俺は、足元を水に濡らしながら、キョロキョロ周りを見回した。
「 誰も居ない・・・・。」
雑草の茂った河原と川の水の流れる音がしていた。
“ 確かに橋の下から男の声がしたのに・・・。”
辺りは妙に静かだった。
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