大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道105

2008-08-27 18:47:32 | E,霧の狐道
 俺は、たぶん、走り幅跳びのように空中で足を回転させて歩いていたと思う。
でも、鳥ではないから、必ず落ちる。
俺は横に回転しながらスローモーションで下に落ちて行った。

“ どすん!”

川の真ん中に俺は落ちた。

「 イデデデデデ!!」

 川の水は、多くは無い。
水は川幅の半分を流れていた。
残り半分は河原だ。
 俺は、ちょうど川の真ん中にある浅瀬に落ちた。
浅瀬だから、溺れることは無かったが、左足に激痛が走った。
さらに、左肩の辺りが痛くて、腕が上がらない。
俺は体の左を下にして、河原の砂利の上に落ちてしまったのだ。
 体を動かそうとすると痛みが走る。
俺は、立ち上がって土手を登ることは出来ないと思った。

“ でも、川には女の子の親がいる筈だ。”

俺は川の水に濡れながら大声で叫んだ。

「 助けてくれぇ~~~!!
 落ちたァ~~~~!!」

俺は、助けの声を待った。

“ ん、・・・・・。”

妙に静かだ。

“ 返事が無いぞ・・・・。”

俺は、足元を水に濡らしながら、キョロキョロ周りを見回した。

「 誰も居ない・・・・。」

雑草の茂った河原と川の水の流れる音がしていた。

“ 確かに橋の下から男の声がしたのに・・・。”

辺りは妙に静かだった。



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