大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道106

2008-08-29 18:11:45 | E,霧の狐道
 河原の雑草が風に吹かれて揺れていた。

“ でも、あの女の子は橋の上にいる筈だ。”

俺は、橋を見上げた。
しかし、誰も橋からこちらを覗き込んでいる者はいない。
汚い橋の裏側しか見えなかった。
 俺は不審に思ったが、動けないので、とにかく、橋の上に向かって、もう一度大声で助けを呼んだ。

「 た・す・け・て・く・れぇ~~~~!!
 川に落ちたァ~~~~~~!!」

辺りは、シーンとしていた。

“ ホントに誰も居ないのか・・・・。
 あの女の子も居ないのか・・・・・!?”

俺は、心細くなって来た。

“ このまま、ここで夜が来るのはイヤだなァ・・・。”

 俺は、再び、周りをキョロキョロ見回した。
河原は日が翳って暗くなり始めている。
その寂しそうな風景に不安が大きくなる。

“ あの橋の下の声は何だったんだ・・?
 さっきの、女の子は何だったんだ・・?
 ・・・・・・・・。
 ううううう・・・・。
 何だ、何だ、何だ、これは、くそっ、ゴラァ・・・・!”

俺はメチャメチャヤバイ気がして、大声で空に向けて叫んだ。

「 うおォ~~~~~っ!
 誰か来てくれぇ~~~っ!!
 助けてくれぇ~~~!!
 おォ~~~い!
 おォ~~~い!
 おォ~~~い!
 おォ~~~い!」

俺は、何回も繰り返した。
でも、反応は何も無かった。



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