俺は、再び、自転車のスピードを上げた。
“ よし、橋を渡るぞ!”
橋の幅は3メートルほど、両側に60センチほどの低い欄干がある。
“ 俺って、何をビクついているんだ・・・・。”
俺は、後ろを向いたままの女の子を左に見、背後を廻り込んで急いで橋を通過しようとした。
そのとき、突然、俺の目の前に丸い何かが転がって来たのだ。
俺はビックリして大声をあげた。
「 うわあっっっ!!」
それは、一瞬、生首に見えた。
でも、よく見ると違った。
“ あ、鞠か・・・・。”
女の子の持っていた鞠が自転車の前に転がって来たのだ。
でも、女の子が投げたようには思えない。
女の子は後ろを向いたままだし、どうして鞠がこちらに転がって来たのか、俺には分からなかった。
「 おおっと!!」
俺は急いで鞠を避け、自転車のハンドルを右に切った。
“ ザザザザザ、ザザ~ッ!”
スピードの出ていた自転車は、激しく右に横滑りをして橋の上を滑って行く。
斜めになった自転車に辛うじて乗っかったまま、橋の欄干が俺の目の前に迫る。
“ うわっ、当たる!”
自転車は俺を乗せたまま、橋を横断して反対の欄干に激突した。
“ ガツン!!!”
激突した自転車は横倒しに橋の上に倒れた。
俺は急に止まった自転車から投げ出され、欄干を乗り越えて川に放り出された。
そして、俺は空中を飛んだのだ。
「 うお~っ、うお~~~~~っ!!
飛んでるゥ~、飛んでるぞォ~~~!!!」
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