大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道104

2008-08-25 19:05:14 | E,霧の狐道
 俺は、再び、自転車のスピードを上げた。

“ よし、橋を渡るぞ!”

橋の幅は3メートルほど、両側に60センチほどの低い欄干がある。

“ 俺って、何をビクついているんだ・・・・。”

 俺は、後ろを向いたままの女の子を左に見、背後を廻り込んで急いで橋を通過しようとした。
そのとき、突然、俺の目の前に丸い何かが転がって来たのだ。
俺はビックリして大声をあげた。

「 うわあっっっ!!」

それは、一瞬、生首に見えた。
でも、よく見ると違った。

“ あ、鞠か・・・・。”

 女の子の持っていた鞠が自転車の前に転がって来たのだ。
でも、女の子が投げたようには思えない。
女の子は後ろを向いたままだし、どうして鞠がこちらに転がって来たのか、俺には分からなかった。

「 おおっと!!」

俺は急いで鞠を避け、自転車のハンドルを右に切った。

“ ザザザザザ、ザザ~ッ!”

 スピードの出ていた自転車は、激しく右に横滑りをして橋の上を滑って行く。
斜めになった自転車に辛うじて乗っかったまま、橋の欄干が俺の目の前に迫る。

“ うわっ、当たる!”

自転車は俺を乗せたまま、橋を横断して反対の欄干に激突した。

“ ガツン!!!”

激突した自転車は横倒しに橋の上に倒れた。
 俺は急に止まった自転車から投げ出され、欄干を乗り越えて川に放り出された。
そして、俺は空中を飛んだのだ。

「 うお~っ、うお~~~~~っ!!
 飛んでるゥ~、飛んでるぞォ~~~!!!」



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