俺は、一瞬、瞬きをした。
“ ハッ!!”
今度は、はっきり目覚めている。
体も動く。
俺は、病室を一通り見回した。
特に変化は無い。
病室は、廊下の明かりが扉の窓から漏れている程度で暗い。
これだけの騒ぎにもかかわらず、爺さん二人は熟睡しているようだ。
“ やっぱ、夢かな・・・・。
あのカエル見たら、爺さんたち大騒ぎだしなァ。
起こされずに、寝てるもんなァ。
でも・・・・・。”
俺は、手で顔を擦ってみた。
特にヌルヌルしたものは付いていない。
“ あれっ、ヌルヌルも消えているぞ。
手も臭いが無いし・・・・。
ゆ・・め・・か・・な・・・?
でも、妙に生々しいし・・・・。
分かんないなァ~。
明日も、あの婆さんやって来るのかなァ?
ヤダなぁ~。
ホント、あの婆さん、参ったなぁ~~。
また、明日来る、なんて言ってたしなァ・・・。
眼が真剣だったし・・・・。
寝るのが切っ掛けとか言ってたけど・・・。
寝たら来るのかなァ~。
ヤダなぁ~。
ホント、明日もやって来るのかな・・・。
来たら、ホント、ヤダなぁ・・・・。
俺は、壁に向かって口を尖らせて言った。
「 もう、来なくていいぞォ~~~。」
壁からは何の反応も無い。
俺は思った。
“ これはやっぱり悪夢なんだ。
どう考えても、こんなこと起こるはずが無い。
カエルに乗った婆さんなんてマンガの世界だ。
うん、絶対、悪夢だ。
夢を見ていたんだ。
寝よう・・・・。”
俺はお揚げ婆さんを悪夢と決め付けて眠ることにした。
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