大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道159

2008-12-13 18:48:55 | E,霧の狐道
話している間にも、お揚げ婆さんとカエルが近付いて来る。

「 近付いて来るなよ・・・・。」
「 ふふふ、怖がっておるな・・・・。
 夢だから、どうってことないんじゃろ。」
「 怖くなんてないぞ。」
「 い~や、心の中でビビッておるハズじゃ。
 あの時、せっかく、警告してやったのに、人の話を聞かないからじゃ。」

このとき、俺の頭にフト疑問が浮かんだ。

“ こいつ、俺の居る所がどうして分かったのかな?”

俺はお揚げ婆さんに訊いて見ることにした。

「 ちょっと、質問するけど・・・。」
「 何じゃ?」
「 どうして俺の居場所が分かったの?」

お揚げ婆さんは俺の質問に嬉しそうに言った。

「 ハハハハハハ、知りたいかの?」
「 うん。」
「 そうか、そうか。
 ムフフフフ、じゃ、教えてやろう。
 ワシは真言密教の奥儀を会得しておるのじゃ。」
「 真言密教?」
「 大学で宗教哲学と心理学を研究して、その後、ある高僧のもとで修行を
 積んだのじゃ。」
「 ふ~ん、それで?」
「 ワシは、スーパーでおまえがレジにお揚げを持って行こうとして後ろを
 向いたとき・・。」
「 俺の体に発信機をくっ付けたとか・・?」
「 違う、違う。
 おまえの後頭部に右手をかざして脳波を読み取ったのじゃ。」
「 俺の脳波をコピーしたのか?」
「 コピー、コピーな・・・。
 う~ん・・・、厳密には違うが・・・・。
 まあ、愚か者には理解不可能じゃから、そう思っておけ。
  それで、その読み取った脳波はレム睡眠のときに、おまえの頭から放射
 されるのじゃ。
 そして、ワシは真言密教の奥儀でおまえのレム睡眠の脳波を辿ってここま
 でやって来たのじゃ。
 どうじゃ、怖ろしいじゃろ。
 参ったか、ハハハハハハ!!」

お揚げ婆さんは勝ち誇ったように笑った。



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