大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道168

2008-12-31 19:22:19 | E,霧の狐道
 田中爺はかなりエネルギッシュな人だ。
俺が病室に入ってからも、ジッとしていることがない。
俺を相手に病院のことを話し捲くり、通路で他の病人とお喋りし、ナースステーションまで出張し世間話をする。
この階の病室や通路だけでなく、他の階にも出没していることが予想される。

“ ホントに、何処が悪いのだろう?”

手術痕はあるが、それらは昔のものだ。
でも、入院しているのが外科の病室だし、外科は外科だろうと思う。

“ ホント、元気そうだし・・・。
 それに比べると、もう一人は影が薄いな・・・。”

俺は山本爺のベッドの方に眼を遣った。
部屋の対角線の向こうのベッドは、山本爺の体で掛け布団が盛り上がっているのは見える。
でも、さすがに状態までは見えない。

“ まあ、静かだし、いいか・・・。”

俺は先ほどの生々しさから、今も夢のような気がちょっとした。

“ 今度は、俺、ホントに起きているよな。”

俺は、自分の顔を指で弾いてみた。

“ ピチッ、ピチッ!”

弾かれた顔は、小さな痛みがある。

“ うん、確かに俺は起きている。”



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