夢を見ているのなら、特に不思議なことはない。
今日は入院した最初の日だ。
病院に入院した不安から、変な夢を見ているのだ。
夢の中なら、辻褄の合わないことだっていっぱい起こる。
“ とすると、これはヤッパリ夢だな。
ハハハハ、夢だったら驚くことも無いか。
何だ、脅かしやがって!
バカヤロォ~~!”
俺は妙に強気な発言を心の中で言った。
“ でも、あの声は、一体何処から響いて来るんだろ?
お経のような呪文のような響きだけど・・・・?”
俺は音源を捜し始めた。
“ 上の方から聞こえて来るような気がするが・・・・。”
仰向けの俺は、暗い天井を端から端までジロジロ見た。
音源は天井の何処かのような気がする。
『 おんばあさらえんそわ・・・・、おんばあさらえんそわ・・・・。』
天井の両端に付けた二台のスピーカーから、同質の声が交差して聞こえて来る感じだ。
“ 病院の入院歓迎アトラクションかな、ハハ・・・。”
俺は夢だと思っていても、ちょっと不安になって弱気な笑いを浮かべる。
そして、悪いことには、天井で響いていた声が徐々にジワリジワリと降りて来る。
“ 何だか・・・、声が上から降りて来るぞ!
これって、ヤバイくない・・?”
俺は仰向けになったまま、布団に体を押し付けた。
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