大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道160

2008-12-15 18:55:50 | E,霧の狐道
 俺は婆さんの自信に溢れた表情を見て思った。

“ コイツ、真言密教の奥儀がどうのこうのって言っていたな・・・。
 それに、普通じゃない不気味な現れ方だったし・・・。
 これって、結構、ヤバイんじゃないのかな・・・。
 このババア、変な超能力を持ってたりして・・・。
 ヤダナ、こいつ・・・。
 何とか消えてくれないかな・・・。”

俺はニタニタ笑っているお揚げ婆さんを、とにかく追い払おうと思って言った。

「 ああ、もう、分かった、分かったよ。
 婆さんがスゴイことは分かった。
 もう、話はいいよ。
 それに、今日は夜も遅いし、家に帰れよ。」
「 ダメじゃ、ダメじゃ。」
「 またの機会ってことで・・・。」
「 い~~や、ダメじゃ!
 ふふふふふ。
 これから呪文を言うから、ホント怖ろしいことが起こるのじゃぞ。」
「 怖ろしいことって、何だよ?」
「 ワシが前に言ったじゃろ。」
「 何?」
「 もう忘れたのか。」
「 う~~ん?」
「 人の話をちゃんと聞け、このバカチン!
 なら、もう一度、教えてやろう。
 ワシが呪文を唱えるとじゃな。」
「 うん、呪文を唱えると・・・。」
「 体中から、血が噴き出して、おまえは、その苦しさにのたうち回るの
 じゃ!
 ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ!!!」
「 夢の中でも、苦しいのは、やだな・・・・・。」
「 ふふふふふふ、怖ろしくなって来たじゃろ。
 でも、もう、謝っても遅いのじゃ。
 じゃ、行くぞ。
 ・・・・・・。
 ・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・。」

 お揚げ婆さんは、カエルの上で左斜め上に眼を遣った。
そして、そのままお揚げ婆さんの動きはピタッと止まった。
なんとなく、間が悪い空気が流れる。


☆HOMEページに戻る。
  HOMEページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------