日々の恐怖 8月11日 その4 逃走
母はこれが一番怖かったそうです。
ある夜、砂利を踏む音が我が家の前まで来たと思ったらドアを叩く音が。
母がドアを開けず家の中から応対すると、男の声で一言、
「 追われてる、匿ってくれ。」
両親は顔を見合わせてたけど、丁重に断りました。
すると足音は我が家の庭を抜け、我が家の横にある裏へ抜ける通路にいったようでした。
翌朝、外に出た母が血相を変えて家に戻り、父を呼んでいる。
全員で外に出て愕然とした。
砂利道に点々と血がついている。
血は庭から裏へ抜ける通路に続いてて、どうやら夜の男はそこに隠れたらしく、通路の土には大量の血が染み込んでいる。
そうして、それを踏み付けるような沢山の足跡。
まさに倒れてたのを、誰かが夜中の間にそっと運び出したような感じ。
警察には通報はしませんでした。
ただ、父が水を撒いて血痕を消し、母が植木用の土を持ってきて上から踏み固めてた。
もし匿ってたらどうなってたんだろう。
怖いというか、すごく後味の悪い話ですいません。
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