goo blog サービス終了のお知らせ 

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 8月7日 電話

2013-08-07 18:32:14 | B,日々の恐怖






     日々の恐怖 8月7日 電話





 会社の先輩(女性)の、学生のころの体験を聞きました。
学校から帰ってみると、家にだれもいなかった。
先輩はとくに気にすることもなく、父親の3畳ほどの広さの書斎にある電話で友達とおしゃべりをはじめたが、その途中で、電話相手の友達が、

「 なにか音しない?」

と言った。
 カチカチカチカチと、ちょうど電話機のフックを連打する音に似たその音は先輩の耳にもききとれたが、

「 混線でもしてるんじゃない?」

と、あまり気にかけなかった。
そのカチカチ音も、30秒くらいの間隔で数回鳴り続けたあとで止まった。
 1時間くらい話したころ、玄関を開ける音がし、廊下にドサッと買い物袋を置く音がした。
母親が帰宅したのかな?と思いつつそれでも喋っていると、背中のすぐ後ろの扉がドンドンドンドン!とすごい勢いでノックされた。

「 うるさいなあ!もう!」

 先輩はノックの主は長電話ギライの母親だと思っていたので、扉をドカッと蹴り返した。
ノックの音は止まった。
かわりに女の声がした。

「 でんわを切りなさい。」

“でんわ”のところまでは、のびたテープのような低い声。
しかし“切りなさい”は、逆にテープを早回ししたような甲高い声。
異常に気づいた先輩は怖くなり、友達に頼んでしばらくそのままおしゃべりを続けてもらった。
 日も暮れかけたころ、再び玄関を開ける音がし、廊下にドサッと買い物袋を置く音がした。
廊下に小走りの足音が響く。
ドンドンドンドン!
先輩はもう喋ることもできず震えていた。
 扉の向こうで声があがる。
しかし、今度は正真正銘、母親の声だった。

「 お父さんが倒れて運ばれたんだよ。
こっちは必死にあんたに伝えなきゃと思って電話してたのに!」
















童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------