日々の恐怖 8月12日 その5 四畳半
大家さんの家は旧農家で、当時その大きな家の前に畑がありました。
長屋から見ると真横です。
そこは、今でもあるらしい。
大家さんの家と畑の前を細い私道が通ってて、その私道は緩やかにカーブしてたんですが、丁度カーブする辺りに“何もない変な土地”がありました。
四畳半位の大きさで、植木も何もない。
中途半端過ぎて遊び場にもならない。
私道自体は子供の遊び場だったけど、なぜかその土地には足を踏み入れた記憶があまりない。
で、その土地のとこに電柱があって、足元に理由は分からないけどお祓いの棒が刺してあった。
神主さんが手で持ってシャッシャッとやるあれ。
割箸と半紙で作ったあれのミニサイズが、電柱の下にいつも刺さってた。
ある日、皆で遊んでたら、同じ長屋に住むたけちゃんという悪ガキがそれを引っ込抜いて遊び始めた。
やめなよー呪われるーなんてワイワイやってたら、畑仕事をしてた大家のじいちゃんがすっ飛んできて、全員ものすごい勢いで叱られた。
やったのはたけちゃんなのに。
で、近くにあった用水路跡(柵も何もない昔の生活用水路の名残)の傍に遊ぶ場所を変えたのだけど、普通に歩いてたたけちゃんが、いきなり横によろめいたと思ったらその用水路に転落した。
浅かったので皆で助け上げたら、ヘドロまみれで半泣きのたけちゃんが、
「 今押したの誰だよ!何で押すんだよ!!」
押すってあんた、一人で前歩いてたやんと、笑ったのだけど、じゃあ押したのは誰って話です。
今思えば怖い。
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