大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 6月13日 勝った子供

2015-06-13 17:46:44 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 6月13日 勝った子供


 去年の夏に起きた話です。
当方普通の30代サラリーマンで、家族は妻と小学生の子供2人です。
 丁度1年前の8月初旬に、仲良くしてる家族とキャンプに行ったんです。
相手家族もうちと同じで、夫婦に子供2人の4人。
合計8人でのキャンプでした。
 そのキャンプ場では、テント2張と山小屋1件を借りました。
テントはそれぞれの夫婦で1張ずつ使い、子供たちは山小屋で寝る事にしました。
 山小屋は普通のベッドが2つと、ロフトベッドが2つありました。
夜は山小屋で8人で遊んで、子供が寝たら親たちはテントに引き上げて寝るということにしました。
 子供たちを山小屋に連れて行くと、どちらの家族の子供たちも珍しいロフトベッドに寝たがりました。
無理もありません、子供は珍しいものが大好きですから。
 そこで、ジャンケンをして勝った2人がロフトベッドを使い、負けた2人は普通のベッドで寝ることにしてジャンケンをさせました。
何回かのジャンケンの後、うちの長男と友人家族の下の子がロフトベッドを使うことにきまりました。
 その後は特に問題もなく、川遊びやバーベキュー、花火や山小屋に帰ってのトランプなどで、11時近くまで8人で過ごしました。
 11時近くなり、さすがに子供たちも眠そうになってきたので、入浴や着替えをさせて、11時半頃に子供たちは床に着きました。
その後我々大人たちは酒を飲み続けた後シャワーを使い、12時半頃にそれぞれのテントに引き上げて寝ました。

 翌朝7時半頃、起きて山小屋の子供たちのところへ行きました。
するとうちの長男が、不思議なことを言うのです。

「 昨日の夜、寝てるとき、何度もふとんを足元から引っ張られたんだ。」

“ えっ?”

と思いました。
 そして、やはりロフトベッドで寝ていた友達の子供も言うのです。
寝ているときに、何度も、

「 ボクのだよ・・・、ボクのだよ・・・。」

って声が聞こえた、と。
 不思議に思いました。

“ 下に寝ていた子たちか、それとも部外者か?”

しかし、下の普通のベッドに寝ていた他の2人の子供は、何事もなく朝まで熟睡していたそうです。
 何か奇妙な気もしましたが、特に実害があったわけでもないので、そのまま朝食をみんなで食べて、その後の予定をこなすうちに、その子供たちの奇妙な話は忘れていました。
 しかし、旅行から帰った翌日、友人から電話を受けたのです。

「 おい、変なのがあったから、うちに来てくれ!」

友達の家に行くと、

「 これを見てくれ。」

と、ビデオを見せられました。
 友達はキャンプ中、ホームビデオをずっと撮っていたのです。
それを再生していました。
 すると、山小屋に入って、子供たちがベッドを決める場面が映っていました。
4人の子供たちが、

「 よーし、じゃあジャンケンで決めるよ!
最初はグー、ジャンケン、ポン!!!」

とジャンケンをした場面です。
 もちろん4人でのジャンケンですから、最初の1回目は全員がチョキを出したのであいこになり、2回目、3回目とジャンケンが続いていく様子が映っていました。
 友達が私に言いました。

「 おい、分かったか?」
「 うん?よく分からないけど・・・?」
「 じゃあ、もう1回巻き戻すから、画面の右下をよーっく見てろよ。」

そこで、もう一度巻き戻して再生された画面の右下を注意深く見つめました。
 すると、よーく画面を見ると、右下にうっすらと霞むようにですが、白い手がグーを出しているのです。
4人の手のはずですが、その1回目のジャンケンだけ、手が5本あったのです。
 おそらくですが、ふとんを引っ張ったり、

「 ボクのだよ・・・。」

とつぶやいたのは、その白い手のジャンケンで勝った子供が、自分の場所だと主張したのではなかったかな、と思いました。
 その後は特に何もなかったのですが、1年経って友達と今年の夏の予定を話していたときに、去年の出来事を回想した次第です。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------