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日々の恐怖 6月21日 知らない誰か

2015-06-21 18:37:20 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 6月21日 知らない誰か


 ある日の深夜、Aは友人に金を貸しっぱなしだったことを思い出し電話をかけた。
深夜に電話をかけて金の催促なんて非常識だけどAはその時金に困っていて、もしすぐ返してくれるならなかなかの大金が返ってくる予定だった。
 電話をかけた、と簡単に言うもののAはその友人と重大な連絡を取る機会が無かったため基本はLINEやSkypeで会話していた。
 そのため普通に電話をかけるのは初めてだった。
LINEやSkypeが使えない時用にメモってあった電話番号を見ながらキーパッドに入力してかけた。
 数回コールしたのち、低く通った声で、

「 もしもし?」

と友人が出た。
 Aは友人が電話に出るなり金を返せとまくしたてた。
すると友人、今日買い物のついでに金を下ろしたから今すぐ返せる金が手元にあると応答した。
 それならいいかと安心したAはいつも通り友人とくだらない話を開始した。
話題はセブンイレブンのコマーシャルでやっていた食べ物になり、

「 あれ美味そうだよな~。」

と何気なくAが言ったところ、友人は、

「 じゃあさ、俺の家の近くに毎回品切れ率が低いセブンあるからさ、そこ寄るついでに俺の家来いよ。」

 Aは、それは名案だと思い支度をして、携帯片手にチャリを漕いだ。
友人の家の場所を忘れたと言うと電話で案内してくれるとのことだった。

「 真っ直ぐ行ったら突き当たりにパーキングエリアあるだろ?
そこ右に出て大通りまで。」
「 弁当屋あった?
じゃあさ、そこの横に細い道あるから入って、近道になるから。」

Aは、友人の指示が的確で分かりやすかったこともあり、家の場所を思い出してきた。
 しばらくチャリを走らせているうちに完全に思い出す。
もう電話の案内はいいなと思い、一言言って電話を切った。
 友人宅に到着した。
しかし、部屋が暗い。

“ あいつあの短時間で寝たのかな?”

と思い呼び鈴を連打した。
 すると友人が全く予測していませんでした、と言わんばかりの不機嫌な顔で出てきた。

「 何だお前!?
時間考えろよ!?
ふざけんな!!」

Aも言い返す。

「 お前が今から金返すっていうから来たんだろうが!!!」

友人は、

「 は?金?
ああ、返してないな。
 けど、俺そんなこと言ってないぞ?
第一、お前に電話してないし。」

その言葉を聞いて不思議に思ったAは携帯を出して、通話履歴を見た。
やはりそこには友人の電話番号がある。
この履歴を友人に見せてはい論破した。
そう思っていたのもつかの間、衝撃の事実が友人の口から飛び出した。

「 いや、あのさ、俺が自分の電話番号覚え間違えるってことは無いと思うけどさ、お前この番号違くね?」

 Aは段々怖くなってきたので、友人に念のため携帯で確認するよう頼んだ。
やはり番号はAがメモを間違えて取っていたことが発覚した。
つまりあの電話は完全に間違い電話だったらしい。
 一連の流れの後、友人は恐怖に怯えているAに優しく声をかけた。

「 まあ、あのさ、お前が間違い電話かけた相手もたまたま金の件に心当たりがあったんだろ。
すげえ偶然だな。
 金はさ、悪い。
今週中には返せるから。」

しかしAの恐怖心は収まらない。
理由を友人にまくしたてるA。

「 だって!だってな!
俺、間違い電話の相手に自宅からここまで案内してもらったんだぞ!!」

 その一言で友人もゾッとした。
事実ならば、Aの家どころか友人の家も何者かに割れているからだ。
 そしてAは電話に怯えている。
その理由は、自分にかかってくる電話に出たら、またあの友人に似た低い声のヤツが出るかもしれないという予感がするからだ。









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