日々の恐怖 11月3日 正月は暇(2)
親父は俺のカメラを取り上げ、パシャパシャ撮って楽しんでいた。
「 先輩から貰ったもんだから、悪戯すんなよ。」
と忠告した俺が馬鹿だった。
そんなことを言われるとウチの親父は燃える。
案の定、鍋にレンズのフタを入れて煮込み出したり、わざと落下させたりし出した。
最初は俺も笑っていたがどんどんエスカレートしていく愚行に、酒の入った俺も怒りだしてきた。
「 次、ふざけた事やったら怒るぞ。」
と忠告した記憶がある。
いつもこんなやりとりなんで周りは笑ってる。
普段酒飲んでも変わらない俺なんだが、日本酒だけは鬼門だった。
その為、日本酒は正月のみと決めている。
だから親父と喧嘩になるんだな、と思った。
相変わらず親父は悪ふざけを続け、ついに俺がキレた。
「 いい加減にしろよ、コノヤロー!」
と、始まってしまった。
止めに入る叔母。
しかし、親父も
「 うるせーよ、コノヤロー!」
でもう止める事は出来なかった。
流石にこの歳で殴り合いってのも寒いので、俺はその場で帰ることにした。
飲酒運転は出来ないので代行を探そうと思ったがそれすら面倒くさく、カード会社に連絡をして最寄りのホテル手配を頼んだ。
しかし、いつも宿泊しているホテルは満室だった。
それで、すぐ他のホテルを手配してもらった。
結局隣町のホテルでタクシーで5000円くらいの距離だった。
それから、タクシーも手配してもらった。
そんな俺を見て、親父も、
「 テメー、タクシーって、偉くなったもんだな!」
と、一触即発だった。
叔母は、
「 お正月から親子喧嘩なんてやめてよ。
◯◯ちゃん(俺)、我慢して!」
と懇願されたが、
「 ウルセーよ、コラ!」
と完全に突入していた。
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