日々の恐怖 11月17日 駅への道
東京に住んでいた時の話です。
我が家の最寄り駅の一つ前の駅が、終電の際の終着駅でした。
ある日、平日ダイヤと休日ダイヤをうっかり見間違え、自分の最寄り駅へ行く電車がなくなってしまいました。
仕方がないので初めて一駅歩くことになってしまいました。
時間は深夜1時頃です。
“ 怖いな・・・・。”
と思っていたのですが、私の他にも同じ境遇の人が数人いたらしく、同じ方向に歩く人がぱらぱらいたため、そんな気持ちも無くなりました。
段々分かれ道に差し掛かるにつれ、一人減り、二人減り、とうとう私と、少し先を歩く女の人だけになりました。
OLっぽい人でした。
女の人とは、常にある一定の距離が保たれていたのですが、最寄り駅が見えてきたという時になって、徐々にその距離が縮まってきました。
そして、とうとう追い越しそうになったとき、
“ この女の人が前を歩いてくれていたから、夜道も怖くなかった。
本当に心強かった。
どんな人だろう・・・・?
顔が見てみたいな・・・・。”
と思い、すれ違い様後ろを振り返った瞬間、
“ えっ・・・?”
一瞬で女の人の姿が消えてしまいました。
脇道も家もない一本道で、姿が隠せそうな場所はどこにもないのです。
“ あ、幽霊だったのかな・・・・”
とぼんやり思いつつ、駅にたどり着くまで先導してくれたことに感謝しました。
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