日々の恐怖 11月7日 正月は暇(5)
時間も時間だからフロントの人も訝しがって、
「 何かありましたか?」
と尋ねてきたが、
「 後で話します。」
と伝えて電話を切った。
怖かったが、寝汗が凄かったのでシャワーを浴びることにした。
それも、さすがに怖くなってきたので、ドア開けたまま。
それに、目も開けたまま。
そそくさと退室準備をしながら伯母さんに電話した。
一部始終を伝えながら荷物の整理。
4時を回ったのかな。
外が若干明るくなってきた。
その時、ベッドの左横の壁に異変を感じた。
四角い跡が三つある。
全部違う大きさ。
最初は、
“ 絵画の跡かな?”
と思ったが位置が低すぎる。
触るとその部分だけ壁が薄い。
直感的に、
“ コレだ!”
と思った。
怖いので伯母さんと通話しながら、
「 伯母さん、多分コレだ。
変な跡がある。
今からカメラで写真撮るから、後で見てくれ。」
とドキドキしていた。
伯母さんは、
「 そんな事怖いから早く帰ってきなさいよ!」
と進言してくれたが、俺はカメラを構え撮影準備に入った。
冷静だったと思う。
が、何度シャッターを押してもカメラが反応しない。
“ おかしい・・・・?”
急に怖くなってフロントまでダッシュした。
フロントのお姉さんに事情を説明した。
奥から年配の男性スタッフも出て来て、事情を説明した。
冗談で、
「 すみません。
部屋に携帯忘れたので取りにいって貰えませんか?」
とお願いすると、女性スタッフは、
「 いやーーーー!」
とプロ失格の反応だったので笑った。
タクシーに乗り込み、運転手さんと昨日からのあらましをお話した。
5000円くらいの距離を埋めるには最適だと思ったし、興奮していたから。
そこで運転手さんが鋭い一言。
「 お客さん、ソレ、昨日親父さんが壊しちゃったんじゃないですか?」
それはあり得る。
と言うことでバッグからカメラを取り出し、運転手さんの後頭部を撮影した。
一発で下りるシャッター。
まばゆいフラッシュ。
「 ・・・・・・・・・。」
あれからネットで、あのホテルのことを調べた。
数個の悪い噂が載っていた。
もう宿泊することは無いだろう。
それにしても、あのオッサンは誰なんだろう?
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