大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月1日 運動会(2)

2017-04-01 23:06:54 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 4月1日 運動会(2)




 親戚の人達も行事があるなんて心当たりもなかったから首をひねっていたら、普段無口な婆ちゃんがポツリポツリ語り出した

「 昔あの辺に汽車が通っちょってね。
そん頃にそがぁし人が乗って走った時があったんよ。
人も一杯で窓から乗り出したり色んな所に掴まったんまま乗っちょったから、坂道ん時に汽車が登れんごなってね。
途中で逆に下り始めて、そん時人が騒いで飛び降りたり押されて落ちたりして人が何人か死んだのよ。」

 婆ちゃんがいうには戦前母ちゃんが声を聞いた場所のあたりで、昔汽車が乗客の重さに耐えられなくて山を逆走して、その時パニックになった乗客の何人かが落ちて亡くなったらしい。
母ちゃんが聞いたのは多分その時パニックになった乗客の声だろうって。
 婆ちゃんはそれ以上何も言わなかったし、そこにいた親戚もちょっと引いちゃってその日はお開きになった。
 親はみんな家に帰って、俺は従妹たちと次の日みんなで遊ぶ予定だったから、婆ちゃんちに泊まった。
それで布団に入って少ししたら玄関に、

「 ドンドンッ!」

て何かぶつかる音がして、俺は、

“ 何だろう?
誰か忘れ物でもしたのかな?”

て思って玄関に向かおうとしたら、婆ちゃんが、

「 猪がきたねぇ・・・。
噛まれたら危ないから、絶対に出たらいかんよ。
そのうちどこか行くから、出たらいかんよ。」

て見に行くのも止められた。
 次の日起きてから見に行ったら、ススみたいな黒い物が玄関に沢山ついていた。

“ 猪が鼻とか前足で押して砂がついただけなんだろう。”

って思うようにしたけど、それ母ちゃんが帰るときに通った玄関にだけしかついてなくて、他の場所には一切ついてなかった。
 婆ちゃんはもういないし、今となっては本当なのかどうかわからないんだけど、あの時外に出てたら何が起こってたんだろうって今でも思う。
場所は鹿児島の隼人町って所の話です。











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