日々の恐怖 4月11日 音(2)
そして最後に、右側に回りこんでベッドのまわりを這うように自分に近づいてきた。
そしてその時、何か衣擦れのような音も聞こえた。
もう寝るどころじゃなくなってひたすら音に集中してたら、一瞬パタッと音がやんだ。
その静寂に思わず息を殺した。
実際には短い時間だったと思うけど死ぬほど長く感じた。
“ 気のせいじゃない、これはなんだ?
なんかわからんけど去った・・?”
って必死に考えてる時、いきなり耳のすぐ横で、
“ チリン。”
って音が鳴った。
想像を超えた近さだった。
私は思わず叫んで、跳ね起きて電気をつけた。
電気をつけたら音は一切やんだ。
もちろんシャンデリアを真っ先に見たが、微動だにしていなかった。
同僚を見ると彼も真っ青な顔で震え上がっていた。
「 今のは・・?」
って言いかけたら、同僚が頷いて、
「 間違いなく歩いてたよね。」
って言った。
それから眠れなくなり、同僚といろいろ話し、何の音だったのか、どういう現象なのか、説明をつけようとしたけど、結局答えは出なかった。
音しか聞いてないけど、もしあれが霊だったとしたら、とても古い時代の霊なんじゃないかと思った。
実際に霊が見える人からするとつまらない現象かもしれないけれど、現実にあんな事が自分に起きるなんて信じられなかった。
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