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日々の恐怖 4月3日 覗く人

2017-04-03 19:19:20 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 4月3日 覗く人




 友人から聞いた話です。
北海道の大学に進学した彼は、友人たちと頻繁にファミレスに行ったという。
ドリンクバーとポテトフライをお供に、時には朝まで語り明かす。
誰にでも経験があるありふれた話だ。
 ある日いつものように会話を楽しんでいると、窓の外から店内を覗く人影に気付く。
若い女だ。
店内に知人でも探しているのか。
 初めは気にもとめなかったが、10分も動かないとあれば、やはり気になってくる。
隣の友人の肩を叩くと、

「 うん、気付いてる。」
「 変だよな?」
「 あんま、見ない方がよくないか?」

視界の端に捉えながらやりとりする。
 視界の端でちら見していると、女が動いた。
真横に、滑るように。
 普通人間が動く際には、必ず肩が動く。
歩くにせよ、向きを変えるにせよ。
女が見えなくなったあとは、その話で盛り上がった。
そして結論として、あれはこの世のモノではなかった、と言うことになった。
 先日、友人と食事をした。
地元、鹿児島のファミレスだった。
 食事中、やたら僕の背後に目線が流れる。
そこで前述の話を聞かせてくれた。
そして、

「 今また、あの女がいる。」

と言った。
 やはり以前と同じように、窓の外から店内を覗いているようだ。
僕はふり向けなかった。
 そうしているうちに、彼はほっとした様に、

「 いなくなった。」

と言った。
 北海道で見てから10年以上経過しているが、以前と全く変わった様子はなかったそうだ。
容姿も、店内を眺めるたたずまいも、そしてあの、全く肩が上下しない人間離れした動き方も同じだった。
 店から出る際、外から女がいた窓の付近を確認してみたが、植え込みになっていて、人が立てる状態ではなかった。
 そして窓の高さも僕の頭より上、窓から姿が見えるには少なくとも身長250cmは必要だ。
やはり、そこには人ならぬモノがいたのだろうか。
幸い友人には前回も今回も、その後特に変わったことはないという。
 そして僕は厭な事を思いついた。
女は、ああやって色々なファミレスを覗いて回っているのではないか。
北海道から段々と南下してゆき、やがて九州に辿り着いたのではないか。
友人は偶々2度も遭遇してしまっただけ、だと思いたいのだが、ムシが良すぎるだろうか。
 そして、女の今後も気になっている。
鹿児島は本土のどん詰まりだ。
これから沖縄に渡るのだろうか。
それとも折り返して、また北へと向かうのだろうか。













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