日々の恐怖 4月18日 パア(1)
親戚の集まりがあり、家族で茨城の祖母宅へ行った時のことです。
今から大体8年ほど前ぐらいですか。
私の父方の親戚は、毎年夏休みに2、3日間ほど全員が集まります。
ご先祖様の墓参りなどを一族全員で済ませ、あとはひたすら宴会という、大人にとっては楽しくて子供にとってはちょっとつまらない、そんな集まりです。
当時、私は高校二年生でした。
他の親戚の子供達より少しだけ年上の兄姉と私の3人は、大人たちに混じって炭酸ジュースを飲んでいました。
そして、ふと思い出したことがあり、そばにいた父と祖母に思い出話の一つとして6歳の頃の思い出を語りました。
「 そういえば6歳の時の初詣で鹿島神宮に行ったとき、帰ろうとしたところで後ろから頭を、誰かに、
“ バァァ~~ン!!”
て叩かれたんだよね。
お父さんに怒られたかと思ってビクビクしながら後ろ振り向いたのに、お父さんだいぶん後ろの方にいたのよ。
他の家族とかみんな私より前の方にいて、私の後ろに誰もいなかったって、超こわくない?」
そう言った後、父と祖母はしばらくの間びっくりした顔をしていました。
“ なにかまずかったかな・・・・?”
なんて焦っていると、父が口を開きました。
「 その手の指は、大きく開いていたな?」
今度はこちらが驚く番でした。
「 うん、パアだよ。」
私は手を開いて見せました。
確かに私はその時、グウ、チョキ、パアのパアの手に頭を叩かれた感覚がしていたのです。
驚く私を尻目に父はふと笑顔になり、
「 なんだそうか~。
もう俺の後ろにはいなかったんだなァ・・・。」
私は意味が分からず、
“ はぁ・・??”
と疑問に思っていると、祖母が私に説明してくれました。
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