日々の恐怖 7月2日 歪み(3)
最初の虐待の原因になったのは、妹が熱を出して学校を休んだ時だ。
当時兄は小6で妹は小1だった。
妹が熱を出す一週間くらい前に爺さんが来てて、みんなで焼肉へ行った。
それから一週間くらい経過してから妹が熱を出して学校を休んだ。
症状が出てから3日くらいして兄が父に猛抗議した。
ほどなくして、
「 あれ明らかに中毒症状やろが!
病院連れてけ言うてんねん、ハゲ!」
と兄が怒鳴ったのを今でも覚えている。
父はそれに対して、
「 病院もタダとちゃうねん!
ただの風邪や!
寝とったら治るわ。
それと誰が金払うねんや、あぁん?」
と言い返していた。
結局、兄が救急車を呼んで妹を病院に連れて行った。
放っといても治るカンピロなんとかいう病気だったと思う。
当時O-157が流行っていたから、大事なくてよかった。
ほんとに中毒という指摘があっていたから、父からしてみれば恥をかかされた気分だったんだと思う。
大人よりも知識があったから、家族の信用が兄に移ったと勘違いしたのかも知れない。
父の許可も無く家の電話を使用した事とか、救急車が大げさで近所に恥かいたとか、そんな理由で病院から帰った兄はボコスカ殴られてた。
これが虐待の始まりで、兄はここから父を無視し続けた。
殴られようが何をしようが、まるで父がそこにいないかのように振る舞っていた。
怖いとは思わなかった。
殴られた事はないけど、兄が殴り返さない気持ちもわかった。
何もわからないうちから殴られてたら、あんな父でも怖いと思ったかもしれない、
ある程度大きくなると、殴り返すほどの労力や時間を費やすのがもったいないってそう思う。
でも兄がいなければ、俺がターゲットだったかもしれないとも考えられる。
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