日々の恐怖 7月10日 お財布(1)
今日、耳鼻科クリニックに行ってきたのだが、受付の人に、
「 これ、Sさんのお財布じゃないですか?」
と小銭入れを見せられた。
どうやら落とし物で届けられたらしい。
それは間違いなく自分の物だった。
「 お会計の時持っていたのを覚えていたので・・・・。」
ちょっと特徴のあるデザインだったからそのせいだろうと、お礼を言って受け取ってきたんだが、よくよく考えるとおかしい。
この財布をなくしたのは正月だった。
一緒にいた友達や兄弟も自分が小銭入れから金を出し入れしているのを見ている。
そしてなくしたことに気づき、みんなで探し回ったが、結局見つからなかった。
正月に医者なんか開いてるはずないんだ。
当然来た覚えなんかもない。
“ 実は上着やらのポケットに入れていたのを失念してなくしたと思いこみ、そのまま忘れてここに来て落とした・・・?”
とも思ったが、そもそも服装が全く違う。
とにかく腑に落ちなくて中を見てみたんだけど、せめて家族かだれか近くにいるときに開ければ良かった。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ