日々の恐怖 7月26日 猫
猫の話です。
俺は生まれてこのかた猫と暮らしてる。
途切れたことが無くて、拾ったり貰ったりで、今五匹目だ。
そんな猫たち、どうも俺を猫扱いする。
俺以外に二人兄弟がいるが、俺にだけ生きのいいネズミをプレゼントしてきた。
どうも、
“ これで狩りの練習をしろ!”
ということらしい。
俺が髪を梳かしていると、猫は母にブラッシングの催促して張り合ってくる。
他の兄弟は、そんなことはまったくない。
この間なんて、野良猫にエサを譲られた。
そういう話を友人とメシ食いに行ってるとき話したら、坊さんになったヤツが笑いながらこう言った。
「 お前、多分魂が猫なんだよ。
前世は畜生道で猫やってて、人間道にランクアップしたわけだ。」
そして、
「 滅多にいないだろうけど、輪廻の中で畜生道から人間道に上がるヤツもいるだろ。
逆は多いがな。」
“ 魂が猫って・・・。”
と他のヤツらが笑っていると、その友人の坊さんは、
「 この世も捨てたもんじゃないな。
お前が坊さんになれば、名前を残せるくらいになったかもしれないよ。」
と嬉しそうに言っていた。
どうやら俺は猫らしい。
不思議な話だ、まったく。
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