日々の出来事 11月30日 オスカー・ワイルド 幸福な王子
今日は、オスカー・ワイルドが亡くなった日です。(1900年11月30日)
オスカー・ワイルドはイギリスの詩人、小説家、劇作家です。
代表作は、戯曲“サロメ”、“真面目が肝心”、小説としては“幸福な王子”、“ ドリアン・グレイの肖像”があります。
オスカー・ワイルドは、オックスフォード大学在学中に、W. H. ペーターの唯美主義やJ. ラスキンの芸術観に強く影響を受けました。
そして、卒業後はロンドンで社交界の人気者となり、芸術至上主義の代表的作家として活躍しました。
“幸福な王子”(The Happy Prince)
ある町の中心部に高く聳え立つ金箔の王子像がありました。
その王子像は、両目には青いサファイア、腰の剣には真っ赤なルビーが輝き、体は金箔に包まれていて、心臓は鉛で作られていました。
この王子像はとても美しく町の人々の自慢でした。
あるとき、旅のツバメが寝床を探し、王子の足元で寝ようとすると突然上から大粒の涙が降ってきます。
ツバメが王子に訳を聞くと、王子は町の不幸な人々に心を痛めていたことが分かります。
そして、王子はツバメに頼みます。
自分の持っているものを町の不幸な人々にあげてください。
ツバメは、ルビーを病気の子供がいる貧しい母親に、サファイアは飢えた若い画家と幼いマッチ売りの少女に持って行きます。
眼の見えなくなった王子は、それでも、ツバメから話を聞き、体の金箔を剥がして不幸な人々に与え続けます。
やがて、冬が来て、ツバメは寒さで凍え死にます。
そして、みすぼらしい姿になった王子は心無い人々によって溶鉱炉で溶かされてしまいます。
でも、王子の鉛の心臓だけは溶けず、ツバメと一緒にごみために捨てられるます。
天国で神様が、天使に“この街で最も尊きものを二つ持ってきなさい”と命じます。
天使は王子の鉛の心臓と死んだツバメを持って帰って来ます。
神様は天使を褒め、その後、王子とツバメは楽園で永遠に幸福になったと言うお話です。
オスカー・ワイルドの言葉
恋愛
男は常に女の初恋の人になろうとする。
女は男の最後のロマンスとなろうとする。
結婚
男は退屈から結婚する。
女は物好きから結婚する。
そして双方とも失望する。
教育
教育は結構なものである。
しかしいつも忘れてはならない。
知る価値のあるものは、すべて教えられないものだということを。
Man
Man can believe the impossible, but man can never believe the improbable.
オスカー・ワイルド
☆今日の壺々話
王子様
むかしむかし、若くて男前の王子がいました。
しかし、ふとしたことで魔女の怒りをかい、王子は呪いをかけられてしまったのです。
その呪いとは、1年に1文字しか話せないというものでした。
もし1文字も話さない年があれば、翌年2文字話せます。
手紙や身振りも許されなかったので、相手に意志を伝えようと思ったら、何年もかけて文字数をためるしかありません。
ある日、王子は散歩の途中で美しい姫に出会いました。
金色の髪、ルビー色のくちびる、サファイア色の瞳。
王子は一目で恋に落ちました。
本当は、すぐにでも『アイシテル』と言いたかったのですが、5文字しゃべるために、その後の5年間ひとこともしゃべらず待ちました。
でも、5年たつと『ケッコンシテ』も言わなくてはと思い、更に5年待ちました。
そうして初めての出会いから10年後、やっと王子はプロポーズ!
「 愛してる、結婚して!」
王子の言葉に、姫は金色の髪をかき上げ、サファイア色の瞳で王子をみつめ、
ルビー色のくちびるを開いて答えました。
「 え?なに?」
三つの願い
オス猫を膝にのせたお婆さんが居眠りをしていると、魔法使いがやってきました。
「 やあ、俺、魔法使い。
三つのお願いをかなえてあげるよ。」
お婆さんは魔法使いを見て言いました。
「 あっちへお行き、年寄りをからかうのはやめとくれ。」
魔法使いは言い返します。
「 お婆ちゃん、俺、本当に魔法使いなんだよ・・・・。」
「 じゃあ、向こうの畑のカボチャを馬車にしてごらんよ。」
「 ああいいとも。」
魔法使いが杖を振ると、カボチャはたちまち馬車になりました。
これを見て、お婆さんは急にやる気を出しました。
「 私を、若くてきれいなお姫さまにしておくれ。」
「 いいとも。」
魔法使いが杖を振ると、お婆さんは美人のお姫さまになりました。
「 つぎは何? 最後のお願いだよ。」
「 私の猫ちゃんを、ハンサムでお金持ちの王子さまにして!」
魔法使いが杖を振ると、猫は凛々しい王子さまになりました。
「 お願いはこれで終わりだよ、じゃあね。」
魔法使いが帰ってしまうと、王子さまはうっとりしているお姫さまの手をとって、耳元にささやきました。
「 去年、動物病院で私を去勢したのを、今じゃ後悔してるんじゃないかい。」
テニスの王子様
俺が中学生の時、好きだった子がテニスの王子様にはまっていると聞いて、越前リョーマの真似をしていた。
でも、テニスしてるわけでもなく、勉強が出来るわけでもなく、人の揚げ足とって「まだまだだね」とか言ったりして、ただ痛くて嫌なやつだった。
リョーマの真似を始めてから半年が過ぎ、“あの子も俺のことが気になり出してるはずだ!”とか勘違いして、あの子に告白した。
あくまでも、リョーマっぽく…。
俺「 アンタ、最近、俺のことジロジロ見てるね。」
女「 …うん?話が分からないんですが。」
俺「 誤魔化しても無駄だよ、俺は分かってるから。」
女「 何を?」
俺「 俺のこと、好きなんでしょ?」
女「 誰が?」
俺「 アンタが…。」←(この辺で自分の勘違いに気付いた。)
女「 ふぅん…言いたいことは大体分かったけどさ、何でリョーマ口調?」
俺(涙目涙声)「 え…だって…、アンタ…テニスの王子様…好きだって…。
だから俺…リョーマの真似すれば…好きになってくれるかなって…。
だから…、付き合ってください…。」
女「 あ~、なるほど…。
そういうわけかぁ…、うん、ゴメン。」
俺「 え…。」
女「 好きな人がいる、付き合えない。」
俺「 …。」
翌日、学校へ行くと、黒板にデカデカと“偽リョーマ撃沈”と書かれてあった。
俺の青春は終った。
○○様
今、旦那と喧嘩中・・・、原因は他愛も無いことなんだ。
おせち料理に飽きたんで3日の夜に外食したんだけど、考えることは皆同じで、どこもかしこも満席。
入口で「お名前を書いてお待ちください」と言われた。
我が家は日本国内で一番多い苗字なんで、いつも名前を呼ばれると、3組ぐらい「はい!」と立ち上がるのが常。
そこで、昔を思い出し、今日は違う名前を書いた。
20分ほど待って、「3名でお待ちのヨン様~、ヨン様~!」と呼ばれたので、右手を左胸に当てながら「は~い♪」と返事をしたら、待合室にどっと笑いが起こった。
そしたら旦那が「お前、しょーもないことすんなよ!恥ずかしいじゃないか!」と激怒!
「 みんな長時間待たされてイライラしてたのが、一瞬和んだんだよ。
場が沈んでいたら、笑いをとって盛り上げるのが関西人やん。
何があかんの?」
と、そこから端を発して大喧嘩。
学生の頃、ファミレスや居酒屋チェーンでやりました。
たいていはカタカナで書くわけだけど、
「4名でお待ちのお地蔵様~」と呼ばれて拝んだり、
「3名でお待ちのお一人様~」と呼ばれて、おや?となったり、
「2名でお待ちのオマチドウ様~」とか。
旦那様、王子様、奥様、お世話様、ご苦労様、神様、仏様、お釈迦様、上様、何様、お殿様、お姫様、お疲れ様、ご馳走様(おいおい、まだ食べてないし~w)などなど。
学生の頃は、定番。
別に悪い事じゃないよね・・・・・?
お話“幸せの丸い貝”
大学で日本の風俗を研究している私は、
休みを利用して、東北の海沿いの道路を歩いていた。
道路から階段が伸びていて、下には岩場がある。
ふと下りてみたそこには1人の少女がいた。
少女は岩場を、何かを探すように歩いていた。
「何か探しているのですか」私は声を掛けた。
「貝を」少女は言った。
「幸せの丸い貝を探しています」
貝とはまた奇妙だ。
それは希少で高級な貝なのかと問えば違うという。
食用かと問えば、食べる人もいるが、と言う。
となると、恐らく貝殻が必要なのだろう。
「祭で必要なのです」と少女は言う。
「幸せの丸い貝が無いと、祭が台無しになってしまう」
その話に興味を持った私は祭のことを少女に問うが、
少女はよくわからないという。
親類が詳しいというので、
頼み込んで家まで案内してもらった。
少女の家はまさに祭りの前日といった様子で、
着くなりたくさんのご馳走で歓迎された。
酒が入っていたからだろう。
ろくに質問もせぬうちに私は眠ってしまった。
目を覚ますと、もう祭りは始まっていた。
少女はいない。私は一番近くにいた人に話し掛ける。
「幸せの丸い貝は見つかったのですか」
「ああ、もうここにあるよ」
やがて祭りは佳境に入り、
私は幸せの丸い貝がどんなものなのか理解した。
ああ、それにしても奇妙な風習じゃないか。
贄です。
嫁
最近少し責任のある仕事を任せられるようになり家に帰るのが遅くなることが多かった。
遅いと言っても9時か10時くらい。
土曜は時々出勤があったが日曜は家に居て嫁と過ごすことを唯一の安らぎにしてた。
オレは嫁大好き人間だ。
大学の後輩として入ってきた2つ年下の嫁は小柄で可愛らしくて明るくて一目ぼれだった。
何度断られてもアタックして、いつの間にやら付き合うことになって嫁が大学卒業してから2年後にプロポーズ。
結婚生活3年目の今まで一度たりとも嫁を裏切ったことはない。
それどころか今も昔と変わらず、いや昔以上に嫁が大好きだ。
見た目も中身も平々凡々で、稼ぎも人並みなオレのことを好きと言ってくれる、いつも隣で明るく笑ってくれてる嫁がいるだけでオレは幸せだった。
嫁がいるからがんばれる。嫁を幸せにすることだけがオレの人生の目的と言っても過言じゃなかった。
その日も仕事で遅くなり10時過ぎに帰ってみると家中の電気が消えていた。
あれ?寝たのかなと思って寝室を覗いて見ても誰もいない。
それどころか家に人の気配がない。
??と思って着替えながらリビングに入るとテーブルに一言置手紙が・・・。
「 ごめんなさい。探さないで下さい。」
この時のショックをどう言い表せばよいだろうか。
恥ずかしながら読んだ瞬間に涙が洪水のように溢れ出した。
臓腑が急に下腹部へ落下したような感触とともに、まるで誰かに頭を持たれて振り回されたように目の前の世界がゆがみ立ちくらんだ。
“ 何故?何が原因なのか?”
とりあえず嫁の携帯に電話してみる。
電池が切れているか電波が届かないという無味乾燥な声が聞こえる。
誰に?どこに電話すればいい?パニックだった。
嫁の両親はすでに他界している。
そうだ、遠縁の親戚か共通の友人だ。
慌てて携帯をいじろうとして手元が狂って床に落としてしまった。
その瞬間クローゼットの扉が開き『エイプリルフール(はぁと)』と書いた手製のプラカードを持った嫁が飛び出てきた。
もう何がなんだかわからなくて、とりあえずひざから床に崩れ落ち腰が抜けたような格好になった。
その格好のまま嫁を見ると嫁も泣いてた。
オンオン泣いてた。
後で聞いたが、勝ち誇った笑顔で出てくるつもりが、必死なオレを見てイタズラをしてしまったことへの後悔の念と、自分への愛情の深さを感じたことで涙が止まらなかったらしい。
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