日々の恐怖 6月2日 お守り(4)
朝起きて一番に、昨日感じた変な気配のことと、何があったのかを聞きました。
母は苦く笑いながら、
「 写真撮ってたときに・・・・。」
と口を開きました。
「 完全に日の沈んだ後、海を撮ったの。
そしたら、
『 ギャアアアアアアアアア・・・・!!』
って、なんか動物が絞め殺されるような、地を這うような変な声が聞こえちゃって、なんか怖くなって・・・・。
お母さんのお守り全部車の中に置いて来ちゃってたから、Mさんの借りちゃった。」
思い出すと鳥肌が立つと言って、母は私に腕を見せてくれました。
紛うことなきチキン肌がそこにありました。
その時撮った写真は怖くてデータが消せない、とのことだったのでそのままにしてありますが、何のことはない真っ暗な水面の写真です。
特に何か写っているということはありませんでした。
このときにその写真を祓うか何かすれば、もしかしたら何か変わっていたのかもしれません。
けれど私も母も、このときはまさかこんな大事になるなんて思っても見なかったのです。
少し怖い体験をしましたが、日も完全に昇って朝飯を食べてしまえば、もうすでにその話題は笑い話になってしまい、私たちは一路那智大社周辺のお社様めぐりへと向かいました。
といっても、今日は実家に帰らないといけないので、どうしても母が行きたがった、女性の神様が祭られているお社へ赴きました。
併設してお狐様も祭られていたので、何かとお狐様にはいつも助けてもらっているので、挨拶もかねてそちらも行きました。
女性の神様が祭られているお社は、早い時間だったからなのか神主さんも巫女さんもおらず、お守り処も閉まってましたが、とにかく中へ入りお参りへ行ってきました。
真っ白い石が敷き詰めれた不思議なところで、お供えされた色とりどりの花が綺麗な空間でした。
そこでお御籤を引くと母は大吉で、”大病は治る”と書かれてました。
ちなみに私は末吉で、騒ぐんじゃない、もっとしっかりしろ、とお叱りを受けました。
きっと特定疾患のことだなと思って、
「 よかったね~!」
と言いながら一路実家へ向かい、無事実家へたどり着くことができました。
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