日々の恐怖 3月18日 無断欠勤(3)
それどころか、シーツがピシッと敷かれ掛け布団も2つに折られて綺麗な状態です。
その状態に唖然としていると、藤原君が、
「 木村君、ごめんね。
俺バイトバックれて彼女と旅行行ってたんだよ。
本当にごめん!」
と謝って来ました。
僕は咄嗟に、
「 いや、そんな事どうでもいいんだけど、さっきさあ・・・・。」
と言いながら気付きました。
藤原君って、昔からずっと金髪なんです。
さっき布団に包まってた藤原君は、真っ黒な髪の毛が布団から覗いていました。
” 何でもっと早く気付かなかったんだろう・・・・。”
と、ゾッとしました。
藤原君は僕の様子がおかしいのを怒っていると勘違いしているのか、何度も、
「 本当にごめん!」
と謝って来ます。
僕は、
「 いや、元気ならいいよ。
今日は帰るね・・・・・。」
と、そそくさと部屋を出ました。
翌日、店長から藤原君から連絡が来てバイトを辞めたと聞きました。
多分、気まずくなったからだと思います。
それ以来、会う事はもちろん連絡すら取っていないので、あれが何だったのかはわかりません。
ただ不思議なのは、
「 ここにいるよ。」
の声です。
あれは藤原君の声で間違いなかったような気がするんです。
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