日々の恐怖 7月20日 お守り(12)
「 それでねそれでね!
すごいのよ!
森から抜けたら目の前海でね!
絶景だったの〜!
で、海見ながらゆっくり道なりにいったら、なんとか国道にでて一安心してさ。
あの車の人に御礼したかったけど、国道で見失しなっちゃって、結局お礼できなかったのよね。」
「 ちなみに車の色は?」
「 うん?白いワンボックスかな?古いタイプ。」
怖い話は何個か読んだことありますが、相似点がいくつかあるので、まあそういうことも無きにしもあらずなのかな、と。
助けて頂いたことですし、母は素直に感謝しているようだったので、特に水を指すようなことはせずに、私は冷めかけのお茶を口に含みました。
「 それで、まあ、なんとか高速乗ったのよ。
そしたら、タイヤがとんできて・・・。」
「 は・・・?」
「 なんか最初ね、フロントガラスの上に小さな黒い点があるな〜、って思ってたの。
カラスかなって。
でも段々と大きくなるじゃない?
それで、飛来物だっ!!
って思ったんだけど、ここでブレーキ踏んじゃダメだ!
ってとっさに思って。
前屈みになりながらアクセルベタ踏みよ〜。」
結局タイヤは母たちの車と後続の車の間に落ちた様でした。(後ろからブレーキ音がしたらしいです)
母達の乗った車と後続の車数台は減速した後、脇に止まって各々車体点検し、警察に通報したそうです。
そのままなんやかんやして、母たちが帰宅できたのは日付が変わった後だったそうです。
「 もう何が大変ってさ。
後ろの車の人が飛来物はタイヤで、高速下に落ちていったって言うんだけど、見つからないし。
そもそも、その日タイヤを積んでたトラックは無かったらしくって。
あんな、死ぬような思いしたところに、世にも奇妙な系の話でしょ。
皆顔面蒼白って感じだったわ。」
そんな理由で、1日に2回程死にかけた母の話は終わりです。
最後に、どうしても気になったので後日、弟に聞いてみたら、
「 母さんは白い車が前を走ってるって言ってたけど、僕は見てないんだよね。
おじいちゃんと後部座席にいたからかもしれないけど・・・・。」
と言っていたので、まあ、そういうことなんでしょうね。
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