日々の恐怖 2月7日 黒電話(1)
昭和初期の頃、世田谷の旧家の話です。
家柄は官僚の家系のエリート。
住んでいたのは家族5人、祖父+主人+妻+子供2人だった。
そして、その旧家には黒電話があった。
ある日、その黒電話にいたずら電話が頻繁にくるようになった。
当時、娘二人はもうすでに嫁いでいて、家には祖父、主人、妻の三人の状態になっていた。
すこし時期が過ぎて、家が寝静まる夜中に何十回も鳴るようになった。
内容は、当初は無言電話だった。
そのうち主人は、いたずら電話が掛かってくるとコードを外して床に置き、それ以上掛かってくる事を拒んだ。
そんなことを繰り返しているうち、ある日、また、いつものように電話が掛かってきた。
主人は受話器をとり、また無言電話だろうと思ってコードを外そうかと思ったとき、何か受話器からぼそぼそ話す声が聞こえることに気が付いた。
” これは・・・・・。”
と思い、主人が受話器に耳を近付け様子を窺った。
また無言に戻っている。
それが数日続いた。
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