日々の恐怖 8月5日 海の家 (3)
雨の日は海の家は休みなのだが、母が町役場に出かけ、俺と姉は留守番した日のことだ。
けっこうな暴風雨で、昼間なのに真っ暗だったのを覚えている。
俺と姉は、映りが悪い14型のカラーテレビを見ていたのだが、突然、停電してしまった。
古い小屋だったから風雨の音ばかりが響く中、姉と俺は、
「 やだな~。」
とボヤきながら、明かり取りの高いところにある窓を何気なく見たら、長い髪の毛をざんばらにしたような人間が、明かり取りの窓からこちらを見下ろしている。
最初は常連客の誰かがフザケているのかと、姉が、
「 だれ~??」
と声をかけると、ざんばら男は、
「 ゴブゴブ・・・・・・。」
と声を出して、すっと窓から離れた。
夕方になって雨がやんだので、外から明かり取りの窓へ向かってみると、海藻が何本かぶら下がっていた。
それから、雨の日にはよくそのザンギリ頭がよく現れ、明かり取りの窓から覗いていることがあった。
そして、よくよく見ると髪の毛ではなく、顔中を海藻で覆っていることに気付いた。
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