日々の恐怖 8月7日 海の家(4)
姉と俺で小雨の中、波打ち際で遊んでいたら、全身も見たことがある。
磯でなにかを拾っている人影が見えて、俺が、
「 あれ・・・・?」
と声を出したら、
「 ゴブゴブ・・・・・。」
言いながら海へ向かっていって消えた。
全身が海藻まみれで、身長は2メートル以上あったと思う。
やたら手足が長かった。
一番怖かった記憶は、8月15日だった。
お盆は一日だけ休みで、父も出稼ぎ先から海の家へ帰ってきていた。
久々に父親と再会して嬉しかったことと、お土産の豚肉の味噌漬けが美味しかったことを覚えている。
夜中、ゴザの上で寝ていると、姉に、
「 なんか、変な音しない?」
と起こされた。
外から波の音に混ざって、
“ カシャカシャ、カシャカシャ・・・・・・。”
という音が聞こえてくる。
夜の海からは色んな音が聞こえてくるのには慣れてしまっていたが、聞きなれない音というのは気持ちが悪い。
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