大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道170

2009-01-04 20:12:48 | E,霧の狐道
 俺は天井を眺めながら二つの音をしばらく聞いていた。

「 音、大きいよな・・・。」

俺は眼を閉じた。
静かな病室に二つの音が響く。
そして、その二つの音は微妙にずれて俺の頭に響いて来る。

「 ん・・・・。」

と、そのとき、二つの音の隙間に別の音が小さくしているのが聞こえた。

 “ てんてんてん・・・・・・。”

俺は耳を澄ませた。

「 別の音が、何処かからしているぞ・・・。」

二つの音の向こうに微かに別の音がする。

「 遠いな。
 通路の奥からかな・・・・・?」

音は、通路の方から響いて来る。

 “ てんてんてん・・・・・・。”

「 何の音だろう?」

 “ てんてんてん、てんてんてん、てんてんてん・・・・・。”

「 また、聞こえた。
 鞠・・・・、かな・・・・?」

音は、少しずつ通路を移動している。

「 そうだ、鞠だ。
 鞠をつく音だ。」

誰かが、鞠を通路でついている。
リノリウムの床に鞠が弾んで、音が通路に反響して響いているのだ。

「 でも、誰だろう?」



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