大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道270

2009-12-07 19:38:54 | E,霧の狐道
「 沙織に電話したんだよっ!
 親には言うなよ、カッコ悪いからな。
 あのな、お守りを持って来てくれ。」
「 お守り?」
「 ああ、お守りだ。」
「 どうしたの?」
「 失くしてしまった。」
「 今まで、お守りなんて気休めだって言って、持ったこと無かったのに、
 信じられな~い。
 お守りなんて、持っていたの?」
「 いや、昨日、隣の吉沢さんに貰ったんだ。」
「 どんなの?」
「 布袋にキツネの絵が描いてあるお守りだよ。」
「 ふ~ん、それで、もう、失くしたの。」
「 とにかく、お守り持って来い!」
「 ダメよ、そんな言い方じゃ。
 “お守り持って来て下さい、沙織様”って頼まなきゃ!」

“ クソッ、足もと見やがって・・・。”

「 うるせ~!
 今日、持って来い!」
「 いいのかな~、そんな偉そうな言い方して・・・。」
「 いいから、持って来い!」
「 何よ、生意気な。
 失くしたこと、吉沢さんに言ってやろ!」
「 ゲッ!
 それは、止めろ!」
「 アハハハハハ、ど~じゃ、参ったか!」

俺は観念した。






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