日々の恐怖 5月1日 ワイの話(9)
弟が産まれてから、数年後に両親が離婚した。
DVもあったので親権はマッマになった。
だが父親は長男で、その長男であるワイだけは田舎特有の家督重視な習わしを持つ父方の祖父母が手放したくないと、かなり揉めたようだった事をワイは後に知る。
ワイ自身、暴力を振るう父親が大嫌いだったので、初めからマッマについて行くと決めていた。
暫くはマッマの祖父母の家で暮らしていたが、離婚を含めた環境の変化が原因なのか小学校低学年の妹はかなり情緒不安定になり、学校に行くのを嫌がるようになった。
ワイは片親だからと周りから言われないように学業を頑張ったが、学校に行かない妹に次第にイライラを感じていた。
元々、妹はアホなのかワイはいつも妹の宿題に付き合い、勉強を教えていた。
「 はぇー、おにいちゃんすごい!」
「 先生の話を聞いてれば、テストなんて100点取れて当たり前や!」
ワイは通知表に毎回、
『 授業中もっと落ち着きましょう。』
と書かれていたが、妹も同じ様に、
『 授業に集中しましょう。』
と書かれていた。
妹は、口から産まれたんじゃないかと思うくらい良く喋るワイと違って、物静かで口数も少ない。
大らかでボッーとしてる事が多かったので、ワイとは違った意味で授業に集中していないんだなとワイは妹のお世辞にも良いとは言えない通知表を自分の物と見比べて悦に浸っていた。
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