日々の恐怖 5月3日 ワイの話(10)
妹が不登校になって2週間くらいが過ぎた頃、遂にワイは、
“ このままでは、ワイまで馬鹿にされる!”
という身勝手な焦燥感から無理矢理、妹を学校に連れて行こうとした。
妹が小学校に上がった直後は兄貴風を吹かし、慣れるまでは登下校を共にし面倒を見ていたが、次第に妹と一緒に登下校するのが嫌になり、ワイは友達と通学するようになっていたが、その日は嫌がる妹を怒鳴りながら準備させ、迎えに来たワイの友達と一緒に学校へと向かった。
道中、
「 もし誰か妹をいじめてる奴が居るなら兄ちゃんが守ったる!」
「 勉強が分からないなら兄ちゃんが教えたる!」
とワイはとにかく妹に言い聞かせた。
ワイの友達と皆んなで学校に行くのが楽しいのか、妹はまるで遠足に行くみたいに登校を楽しんでいた。
だか、学校に近づくにつれて妹の表情が曇る。
校門近くになると、遂に妹は泣き出してしまった。
ワイはなんだか恥ずかしさがあり、友達に、
「 先に学校に行って!」
と伝えてから、しゃがみ込んで泣いている妹を無理矢理立たせて職員玄関のある裏門へと妹を引き連れて向かった。
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