大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道3

2008-01-21 18:36:21 | E,霧の狐道
 ウサギ小屋の掃除当番は、5年生の仕事だ。
二クラスの飼育係が週初めからに交互に二回ずつ掃除をする。
残りの一日の金曜日は先生がやってくれる。
俺と由紀ちゃんは2組の飼育係だ。
 四月にクラスの係りを決める時、由紀ちゃんは飼育係に立候補した。
俺も慌てて飼育係に立候補した。

「 俺も、飼育係に立候補!」

山下先生は俺の顔を見てから、クラスを見回して言った。

「 神谷が立候補したけど、他に誰か立候補する者はいるかな?」

少し間を置いて、山下先生が宣言した。

「 それじゃ、飼育係りは、吉沢由紀と神谷貴志に決めるぞ。
 みんな、それでいいな!」

 クラスの男子は、俺の方を見てヒューヒューと囃し立てた。
女子は、“二人とも幼馴染だからねえ”とか言いながらニヤニヤしていた。
俺は動物が好きだからだと言い張ったが、誰も信じてくれなかった。
 由紀ちゃんは俺より席が前だった。
そして、由紀ちゃんは、後ろを振り返ることはしなかった。
俺が立候補した時、由紀ちゃんはどんな顔をしていたのだろうか。



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