日々の恐怖 11月11日 措置室
友人が昔働いていた病院では、措置室というものがあり、統合失調症(昔は分裂症といってた)の患者などが、発作を起こした時に入れられていた。
当然、自殺防止のために窓は鉄格子つき、何もない6畳ほどの鍵付きの部屋だった。
だが、友人が働いていた10年ほどの間に、そこでは二人の患者が死んでいた。
一人は、靴下をほぐしてひもをつくり、鉄格子にかけて首吊りだった。
もう一人は、靴下の中に隠し持っていたカミソリの刃で、頸動脈を切断した。
その後、その部屋は開かずの間となり、長いこと使われなかったが、ある日、急患で運ばれてきた患者がいた。
その患者は女性で、分裂病の発作を起こし暴れるから、家族の要請で運ばれてきた。
しかし、一時的に収容する部屋がふさがっていたため、仕方なくその死人が出た措置室に入れようとしたところ、激しく抵抗し、
「 怖い!こわい!この部屋は嫌!」
と叫びだした。
何も知らない新人の看護士が、
「 何が怖いの!?」
と、聞いたところ、
「 女が血まみれで死んでる!」
と、部屋を指差し絶叫しました。
事情を知ってる古い看護士たちは、唖然としたそうです。
友人いわく、
「 運が良ければ霊能者になれて、悪ければ一生病院暮らしなんだろうね、ああいう人って・・・・。」
その病院は北九州にまだあります。
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