日々の恐怖 7月10日 昼寝(1)
日曜の昼過ぎ、縁側に敷布団を敷いて2歳の息子を胸に乗せ昼寝をしていた。
しばらく経った時、急に胸に息子以外の重みが、
“ グッ!”
と、のしかかった。
“ 苦しいなあ。
娘(4歳)が乗って来たのかなあ・・・。
それにしては重いなあ・・・・。”
何故か意識が朦朧として体が動かない。
目を薄っすらと開けて見ると、息子が胸にしがみついて寝ているだけだった。
“ そういや娘は嫁と出掛けたよなあ。
何だろうなあ、これ・・・・・?”
と考えていると、
“ バン!”
と急に縁側のガラスを叩かれた。
相変わらず体が動かないので横目でその方向を見ると、誰かがガラスにベッタリとくっついてこっちを見ていた。
ハッキリとはわからないが、近所に住むAさんというおばさんのようだった。
Aさんは再びガラスを、
“ バン!”
と叩くと、今度は、
「 あんた!何してんの!」
と怒鳴った。
そして続けて、
「 そこをどきなさい!」
“バン!”
「 出て行きなさい!」
“バン!”
と何度か繰り返した時、息子が、
“ ビクン!”
とし、
「 うわあん!」
と泣いて起きた。
その瞬間、頭が冴え体が軽くなった。
息子を抱えながら起き上がり、
“ パッ。”
とAさんの方を見た。
しかし、さっきまでガラスにベッタリとくっついて怒鳴っていたはずのAさんの姿が無かった。
ほんの数秒だったので不思議に思い、ガラスを開け縁側から庭に出たが誰もいない。
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